シェーグレンと共に vol.2 患者篇
正直、最後まで読みとおすことが辛かったです。たくさんの患者さんの病気の苦しみ、そして孤独から来る苦しみが胸に迫って来て辛かったです。しかし、数カ月かけて少しずつ読みとおした結果、シェーグレンが、十人十色、百人百様の病気であることがよく分かりました。百人百様ではあるが、実は、「疲れやすいこと」が、多くの患者さんに共通した症状であること、しかし、それを押して、仕事や介護などに頑張りすぎてしまうと、高熱や全身痛に襲われ、入院してステロイド治療を受けるしかない、しかし、完治せずに繰り返したり薬の副作用に苦しむこと・・・を知りました。シェーグレン1年生の私には、非常に参考になり、ためになった本でした。苦労して出版して下さった方々に心から感謝したいです。疾病情報や薬情報が、一括して巻末に索引としてまとめられていれば、もっと読みやすかったと思い、それだけが残念でした。
新シェーグレン症候群ハンドブック
本書はアメリカ・シェーグレン症候群協会が1998年に出版した「The New Sjogren's Syndrome Handbook」の翻訳本です。この本は一義的には患者さんのための本ですが、専門以外の医師やパラメディカルの方をも対象にしています。
シェーグレン症候群はアメリカでは自己免疫疾患の中では最も多い疾患と認識されていますが、日米いずれでも医師や患者であまり知られていない現状があります。そのために受診から診断に至るまでに医師をあちこち廻って7-9年もかかるという現実があります。そのため本書の出版には初版から患者さんやこの分野のリーダーの医師が精力的に関わりました。シェーグレン症候群は中年の女性に多く、目や口の乾燥症状のみならず半数の患者さんに様々な全身性病変を伴い、倦怠感が80%の患者さんに見られます。慢性疾患で治療が長引く状況の中で、家庭や社会との軋轢、孤立化、精神的に追い詰められてうつ状態になる患者さんの問題があります。本書は病気の成り立ち、全身の臓器がどうして障害されるのか、診断の過程、目と口の乾燥、全身の多彩な症状、婦人科的な問題、治療法、自分で試みるべき治療、生活管理上の秘訣、孤独からの脱出など、患者さんにわかりやすく書かれています。特に患者さんが中心になって作り上げた「生活上の知恵」の章は実際的で細かな生活上の知恵がたくさん書かれています。この本は現在出版されているシェーグレン症候群関係では一番信頼できる内容です。
翻訳には「日本シェーグレン症候群研究会」の世話人医師を中心に28名の医師が参加しました。訳者は患者さんがこの本から病気を正しく理解し、病気とうまく共存する方法を学んで、前向きに、少しでも心豊かに暮して欲しいと心から願っています。