ダブル・プロット (講談社文庫)
岡嶋二人はここ最近『99%の誘拐』で読み始めた。へえ、珍しいなあ短編か、と思って読んだけど、証言だけで構成される『記録された殺人』と『遅れてきた年賀状』がダントツに面白い! あと、「ダブル・プロット」のことで井上夢人が解説に書いていた「もうひとつのダブルプロット」が読みたい〜! 昭和が舞台ではあるけど、言葉が古臭くないから今も面白い、新保博久解説にあった言葉に納得した。このダブル解説って笑っちゃった。本人であって本人でない解説ですよ、だって。内容的には『チョコレートゲーム』が何より好きな私としては☆4つだけど、この解説で☆1つ追加。
解決まではあと6人 (講談社文庫)
WHO? WHERE? WHY? HOW? WHEN? WHAT?
の章立てで物語は進んでいきます。
謎の女が次々と興信所に不思議な依頼をしていき、
それぞれの探偵が大きな犯罪の匂いを嗅ぎ付けるが消えてしまう依頼人。
女の目的は一体何なのか?
やがて全体が見えてくると。。。といった感じ。
クラインの壷 (講談社文庫)
岡嶋二人の最高傑作と言われている作品。
SFは苦手なので読まずにいたが、全くの杞憂だった。
これは文句なしで面白い。
ゲーム開発のモニターとして仮想現実の世界を体験する青年の話だが、
やがて二つの"世界"が交錯し、本物と偽物の狭間で我を失ってゆく。
そのスリル満点な展開にどんどん引き込まれていき、
読みながら冷や汗をかいた。
迫り来る恐怖と興奮、崩壊してゆく自我。
一体この世界の何が真実で、何が真実ではないのか。
友情も愛情も何もかもが全て薄っぺらいものに感じられた。
自分はここに生き、ここに存在しているのだろうか?
読後一気にそんな感覚が襲ってきてゾっとし、
思わず周りとキョロキョロと見回して声を発してみたり、
ドアを開けて外を眺めてみたりと挙動不審に陥ってしまった。
完全にやられたという感じ。
手に汗握る展開も久しぶりに味わえたし、大満足の一冊だ。
そして扉が閉ざされた (講談社文庫)
本書の凄いところは、舞台設定の妙とストーリー運びの巧さ。たとえ食べはじめたら止まらないカッパえびせんを食べる手が止まっても、本書を読みはじめた手は止まらないだろう(と言い切りたいくらいにサラサラ読める)被害者1名。容疑者4名。しかし容疑者の誰もが自分の無実を真剣に主張。誰が犯人だ? 犯人はいないのか?しかし被害者は厳然といるのだ。では誰が?最後にあかされた真実は強烈衝撃を伴って記憶に刻まれるだろう。
ちょっと探偵してみませんか (講談社文庫)
岡嶋二人の作品の中で、異色のゲームブック感覚なのは
「ツァラトゥストラの翼」とこの「ちょっと探偵してみませんか」の2冊です。
「ちょっと探偵してみませんか」は、読書する時間が無いけど
謎解きもストーリーも文体の巧みさも味わいたい
という贅沢なミステリ好きの方には本当に持って来いの1冊だと思います。
全部で25の短編(どれも問題編・解答編あわせても10頁以下)が収録されており、
いやぁどれも実によく出来ていて、「ちょっと考えてみませんか」と言われるとつい
うーむ、なんて頁をめくる手を止めて考え込んでしまいます。
5分〜10分あれば気軽に読めますが、簡単に本を閉じられるかといったら
そうでもない曲者の一冊です。この面白さは心地よさ抜群。