Anthology
ノルウェーブラックメタル界のカリスマ、カウント・グリシュナックによるバーズムのアンソロジー。2008作
MAYHEMのユーロニモス刺殺容疑で逮捕され、2000年にはBURZUMの活動停止を宣言、
現在も服役中であるが仮釈放は許され、音楽活動を再開、2010年に復活作「Belus」を発表した。
本作は1992〜1999年までのミニを含む7枚の作品からセレクトされた楽曲を収録。
ノイジーに疾走するいかにも初期ブラックメタルといった作風から、しだいに
暴虐さよりも絶望的な闇と、シンセを使用したもの悲しい表現へと変化してゆく。
今で言うシューゲイザーの先駆け的な曲や、逮捕後の獄中から作られたシンセによる
いわばアンビエントな作風まで、彼の人生の変転そのものという音楽性の変転をかいま見れる。
Fallen
立て続けに二作リリースされましたが、個人的には前作 Belus の方が断然好きです。
まず気になったのが今作、クリーン・ヴォイスのパート。
何度聴いても 『酔っ払いのおじさんが、ビール飲みながら鼻歌を歌っている』 ようにしか聴こえません。
これは、私的にはパスしたい部分。
Belusと対を成している?というタイトルを付けましたが、基本的な部分ではほとんど変わっていません。
但し曲想、録音などに於いては、かなり変化しています。
前作が高音部をイコライジングし、霧に包まれたような幻想的な響き・暗く沈鬱な雰囲気を前面に押し出していたのに対し、今作は、ギターの音が、やたらシャリシャリとして鋭角的であり、曲想も一部邪悪さを残しつつも、何故か暖かさを感じさせられてしまうような内容。
どちらのアルバムも楽曲のクォリティは高いですが、この差は決定的なような・・・・。
もしかしたらこの対比は、狭い部屋の中で見出した、自分の邪悪な部分と、人間的優しさの二面性を表しているんでしょうか?。
だとしたら私は、邪悪なBurzum の方が好き、と言う事に成りそうです。
これは、リアルタイムでのこのバンドの全盛期を知らない、比較的新しいブラックファンである私にとっては、大御所、という威光効果も関係なく、従って何の思い入れもない、純粋な音楽だけの評価になります。ビッグネームに敬意を表しての購入は、これが最後です。