『七都市物語』シェアードワールズ (徳間文庫)
読みましたが、、、うーーん、というところです。
個人的には七都市の魅力はAAAやリュウ・ウェイなどのキャラクターにあると思っていたので、今回の作品は正直期待はずれでした。
主要キャラはもちろん登場しますが、ほとんど脇役扱いに近いです。
シェアード、ということで、まったく田中芳樹と同じものではなく、各作家の個性を無理に出そうとしたのでしょうか?各章にはそれぞれオリジナルのキャラが出てきてそれが主人公となっています。
最終章の「不遇な天才」は完全に別キャラです。
七都市ファンであれば、読んで損は無いですが、「絶対買ったほうがいい」とまでは正直おすすめできないです。
一度書店で立ち読みされてから購入を検討することをおすすめいたします。
狐弟子
中国の唐時代を背景にした短編小説7編が収められています。
一見突飛な設定のものでも、それが物語の展開の伏線につながる
巧みさと、どことなく流れる中国の土着的なにおいの感で、かえって
登場人物たちにもリアリティを感じたり。
一見愚鈍に見える少年が狐と呼ばれる師匠に弟子入りし、しだいに
その機知を発揮し、大の大人をやり込める痛快でどことなくコミカルな
表題作の「狐弟子」と、盗賊で髪結師の主人公という設定が面白く、
最後には思いもかけない展開で読ませる「雲鬢(うんびん)」が
個人的に面白く、気に入りました。
長安牡丹花異聞 (文春文庫)
題名をみておわかりの通り、中国を舞台とした時代小説の短編集です。
文章に冗長なところはないのですが、どことなく気怠るい雰囲気も漂います。
なかなか明かされない謎が絡むからでしょうか?
それとも艶ややかな美女のせいでしょうか?
とは言いつつも、作品ごとに趣向が異なります。
私は表題作に一番惹かれましたが、「殿(しんがり)」という作品の、最後の方にある場面は一幅の絵が想起されて~これもまた楽しめました。
中国の風物が今ひとつな方でも、食わず嫌いせずに挑戦してみてください...これから訪れる秋の夜長に...
琥珀枕 (光文社文庫)
中国を舞台に、不思議な仙薬や壺、井戸にまつわる話が七つ。
水晶玉を覗き込むようにして遠見亭から事件を見守るのは、県令の一人息子で12歳になる趙昭之(ちょう しょうし)と、彼の塾師の徐庚(じょこう)先生。しかしこの先生、ただ者ではない。普段は古井戸に住んでいるが、陸に上がっている時は老人に姿を変えているすっぽんの妖怪である。
一話一話は完結しているのだが、連作短編として話がつながっていく趣向も凝らされている。前の話でちらりと名前が出てきた人物が次の話では主役になる、そうした廻り灯籠的な話の展開。
また、最初は昭之と徐庚先生のふたりだけだった舞台に他の人物たちが出てくるに従って、楽屋裏かと思っていたところがいつしか表舞台へと転じている味わいもある。聊斎志異を思わせる怪異万華鏡の風味とともに、連作短編としての趣向の妙が利いていたところ、ユニークで面白いなと思った。
「太清丹(たいせいたん)」「飢渇(きかつ)」「唾壺(だこ)」「妬忌津(ときしん)」「琥珀枕(こはくちん)」「双犀犬(そうさいけん)」「明鏡井(めいきょうせい)」の七つの話。
なかでも印象に残る作品として、魅力的な妖怪が出てきた「妬忌津」と、ミステリーの妙味は集中随一と感じた「双犀犬」、このふたつの話を挙げたい。
双子幻綺行―洛陽城推理譚
希代の烈女即天武后に仕える宦官と女官の美麗双子が、ひと癖もふた癖もある後見人や今をときめく売れっ子伎女さんなどの魅力的な脇役陣に固められながら次々と怪事件を解決していきます。最後の事件を読み終えたとき、「おお!、そうだったのね!」となり、「ううっ、続きが読みたい・・・」となること必至。