色彩王国〈2〉
プロの人が絵を仕上げている様子や過程をみるのはとても楽しいものです。
それだけでも、この本は価値がありますが、逆に言うとそれだけの本です。
あこがれのあの作家の製作模様を見てみたいというミーハーへの需要に特化した本です。
文章も気恥ずかしくなるほど乙女チックで、男が読むには抵抗感があります。
パソコンでの描画も扱っていますが、使われているマシンが今では中古店やオークションで捨て値で売られているものばかりで、時代を感じさせるのが興味深い……。
最後にこの種の教本に頼って技術を向上させようと考えている人は、多くの作家が自分の未熟さに嘆き、それを露呈しなければならないことを恥じつつも、体当りで創作に向かっていたということを肝に銘じておいてください。
ウィッチテイル 見習い魔女と7人の姫
世界観はメルヘンチックで、不思議の国のアリスなど様々な童話が混ざった感じです。
詳しくは公式サイト…なので良い点&悪い点を。
“良い点”
・タッチペンのみの操作は実際使ってみるとスムーズで快適です。
・絵や物語、曲が雰囲気にあってる。(個人の好みですが)
・正統派RPG。シンプルで、トランプ&人形収集、2週目の変化などライトユーザーでもヘビーユーザーでも楽しめます。
“悪い点”
・壊した障害物の近くでセーブ→ロードすると、たまに脱出不能なバグ。(アイテムで出られる)
・意外とヒントが少ない。
・2週目のイベントが1週目で起きてしまうと2週目にいけないバグのようなものあり。
・よくゲームしてる人にとっては簡単過ぎるかもしれない。
ヘビーユーザーの中には物足りないと感じる人がいるかもしれませんが、女子小学生から大人まで楽しめるゲームとのことなので丁度いい軽さでした。
曲&ED歌はアマゾン内のサントラで試聴できるので聴いてみてください。
庭先案内 6巻 (BEAM COMIX)
庭先案内第6巻です。月刊雑誌ゆえか刊行ペースが遅く、また連載雑誌を購読していないため、早く読みたくてやきもきしながら発売を待っていました。(最近は買う漫画も減ってしまいましたが、数少ない継続して買っている漫画の一つです)
短編連作ながら、ところどころにストーリー性のあるシリーズも継続しています。(幻燈機、関西姉妹など)メルヘンやファンタジーという形容詞が似合う作品とよく評価されていますが、それに上乗せして、作者自身の独特な呼吸というか作風が色濃く反映されており、個性的な絵と相まって独自の地位を確保している名作だと思います。
…しかし帯の「フィナーレ」という文字を見て本当にガックリしてしまいました。短編連作がゆえこれからもどんどん続いていくと思ったのに…。須藤真澄さんの次回作に期待しよう…
っと思っていましたが、作者様のHPを見ると、「庭先案内」の内容を踏襲した新作の連載が再開されるとのこと!!!これは本当に嬉しい限りです。たぶん刊行ペースは今まで通りだと思いますが、ゆっくり待とうと思います。
これから読もうと考えている方へ 短編連作なので当巻から入ることもできるかと思いますが(事実上最終巻ですが)、上述の通りストーリー展開があるものもあるのでやはり1巻から読んだ方がいいと思います。短編の間にストーリー性を持たせるというのも、この漫画の重要な手法の一つであると思います。
自信を持ってオススメできる作品です。
ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
この日本語版の画集がとうとう出て、外国語が出来ない私にもやっと読めるようになりました。ほかの画集に収録されていない絵がたくさん載っています。かなり残酷なものもあります。
ダーガーの絵はとても大きく、紙がうすっぺらく、しかも両面に描かれているので本に載せるのは大変だろうと思うのですが、この本は私が持っている中では一番鮮やかで見やすいです。
ジョン・マクレガー氏の解説は、フランス語版のものとほぼ同じようです。
それにしても、収録されているのはほんの一部に変わりありません。全部見てみたいものです。
泡と兎と首飾り―猫十字社傑作集 (BBMF BOOKS)
お茶がお酒になりました。かつて作者の作品を桃源郷としていた私には、作者の軌跡をたどると共に変わらぬ世界観(そして成長)を愉しむことができ、とても嬉しい単行本でした。この作者は作品によって作風が変わります。絵も世界観も異なりますが、どの作品にも猫十字社ならではの味があります。この本も作者の多面性を編集していました。「もんもん組」のギャグや毒はありませんが、リアル作者(?)の毒やハートは健在。少女漫画界の大御所でないけど異彩を放ち存在感ある作品を描く人だとあらためて思いました。