戦う司書と恋する爆弾 BOOK1(集英社スーパーダッシュ文庫)
独特の世界観と、計算されたストーリー…と言ってしまうとちょっと大げさなカンジがするが、なぜならそれらをごく自然に作品に溶け込ませて、読んだ人間に違和感を抱かせないからだと思う。
死んだ人間は『本』になるという不思議な世界で、最強の司書さんという、なんだそれ、な設定の人物がサラリと自然に出てきて、その司書さんを殺すことだけが全てという人間爆弾の少年が主人公で…そして、1000年先を予見できたというお姫様の『本』を少年が手に入れるところから物語が始まって。
こんな独特の世界の中でも、この物語の主題はあくまで「少年とお姫様の恋」なんだと思う。
絶対に交わらない時代を生きた人間へ、純粋な恋心を抱く。
そして、人間として生きるということを知っていく。
それは切実な思いの物語で、だからこそ読んだ後、ひどく悲しくて、なのに暖かい。
少しホロリとしたい時におすすめしたい物語。
満月の夜はあなたと (フローラブックス)
恋するヴァンパイアシリーズの4作目で、上の兄3人はヴァンパイア、下の妹がウェアウルフという設定です。今作はシリーズ中でずっと昔に死んだと思われていた妹が主役のパラノーマルロマンスです。2番目の兄夫婦が経営するカラオケバーに立ち寄った際に、思いもかけず自分の意思とは無関係に、理性も道徳もそっちのけで有無を言わさず引きつけられてしまう人間の男性との出会います。(実はその彼も同じ様に引きつけられていたのですが。。)その後彼女からの強引なアプローチで、その夜の内に性急に一夜の情事を結ぶのですが、その繋がりが更にお互いを一度限りの関係で無視できない存在だとしらしめる事になるのです。訳合って過去にウェアウルフに変異させられてしまい未だにそれを受け入れられず、人間に戻れるワクチン開発に励む彼女と、過去に運命の女性と信じてやまなかった彼女を自分のせいで死なせてしまったと思い込み、もう誰も愛する事はできないと心を閉ざして何年も生きてきた人間の男性。その男性が獣医という設定には、うまいな!と思わずにはいられませんでしたが、ヴァンパイアロマンス好きの私としては、ウェアウルフの女性視点の展開と相手がごく一般的な人間の男性だったと言うところでイマイチのめり込めませんでした。そもそもこの作品を読もうと思ったきっかけは、シリーズ1〜3作にハマり、締めくくりとなる今作を読まずにはいられなかったからです。シリーズを通して展開されてきた物語の進行や魅力的な兄達は健在で今作にも登場してきますので、ファンなら手にしてしまう作品でしょう。ヴァンパイア物はあまり好きではないけれど、シェイプシフター物のロマンスが好き!という方であれば、最初の3冊を読まずともあまり気にせず楽しめると思います。著者のキャシーラブは、読者を引きつけてやまない魅力的な人物を造り出すのに長けている作家だと思いますので、パラノーマルロマンスで何かないかな〜?と探している方は、彼女の作品は読んで損は無いと思います。今作が星3つという評価なのは、シリーズ3作が個人的にはとても楽しめたので、それらに比べるとハマリ度が低かった事が要因です。
“文学少女”と恋する挿話集4 (ファミ通文庫)
だってこんなにも、「幸せになってもらいたい」という言動を連発してくれるんですもの……。その幸せな意中の相手たる心葉はといえば、その遠子先輩にツンケンしつつ男の影が見えると途端にムカムカモード嫉妬モード。ここいら辺は読んでいて心葉に対し、「このバチあたりめ!」と憤慨することしばしでしたよ。
今巻では遠子先輩関係の話が多し、あとはサブキャラ達の話も短編ながらかなりありましたです。遠子先輩の関わる話はしかし、どれも胸の奥がキュンとなりそしてほんのり暖かくなるものばかりですよね。これが「"本家"文学少女」の威厳か、これは心葉ならずともそりゃ劇中の遠子先輩の関係者達みたいにヤラれずにはいられないというもので……。
しかしその描写具合からもしかしたらと薄々思ってはいましたが、心葉は妹までおとしていましたか。さすが女泣かせな心葉、その有効射程は無限大のようです。この舞花の話は、個人的に一番のお気に入りです。
次巻で遂に、この「文学少女」シリーズも正真正銘完結とのこと。早く読みたいような終わって欲しくないようなこの気持ち、正しく(作品への)愛――!野村先生、お体に気を付けそして執筆活動頑張ってください。
恋する信長-信長物語 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
歴史に疎いので、こういったコミックスはとても魅力的です。
(なにせ関ヶ原の戦いについても誰と誰が戦ったの?というぐらい・・・^^;)
「へぇーそうなの」「知らなかった」と楽しんで勉強できますし、信長の魅力にもやられました。
そして、原作者、イラストレーターの方の信長への「好き」という熱い思いが伝わってきて、読んでいてとても心地よかったです。
最後のところ、二人の女性の思いになんだか、ほろりときてしまいました。
続きがとてもとても読みたいです!
内容はもちろん、イラストも素敵です。
4コマ以外でも、このお二人のペアの作品をみてみたいなーと思いました。
ストライクウィッチーズ―スオムスいらん子中隊がんばる (角川スニーカー文庫)
島田フミカネ原案のメディアミックス作品「ストライクウイッチーズ」シリーズのラノベ版.アニメより以前の設定で北欧の辺境スオムス(実在ではフィンランドあたり)に派遣された扶桑皇国の魔女、穴拭智子少尉の奮闘記だが、「ゼロの使い魔」のヤマグチノボル氏が絶妙のバランスでまとめている.百合ものととらえられがちだか、あくまでスパイス的な程度で毛嫌いして読まないのはもったいない。未知の敵相手に戦うストーリーは「ガンパレードマーチ」や「エヴァ」に近い。島田氏の意図で鬱っぽい話はさけられているが、アニメよりもしっかりした内容になっているのはヤマグチ氏の筆力によるところが大きい。アニメはGONZOが手がけており、宮崎駿ライクな作品になっている(魔女の宅急便+紅の豚)。こちらもすばらしくおすすすめ。