異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
本書の第0章(!)に著者が書くとおり、「ゼロが古代に生まれ、東洋で成長し、ヨーロッパで受け入れられるために苦闘して、西洋で台頭し、現代物理学にとって常なる脅威となるまで」の、「ゼロの物語」です。
この手の本ではいつもそうなんですが、文系人間にとっては相対性理論や量子論、ひも理論なんかに絡む部分は、やっぱり何となくしか分からない。それは仕方ないとして、ゼロ概念がアリストテレスの思想やキリスト教の縛りを解き放って広まっていく部分は、思想史の問題として十分に楽しめた。実際、本書の半分以上がこの叙述に割かれているんで、「ゼロの思想史」みたいなタイトルでも違和感ない。
あと、余分なことですが、ゼロという言葉の起源がアラブ人の使ったsifrだという説明がp85にあって、そういえば著者の名前がSeifeなんですよ。似てるでしょ。トンデモな関係付けでしょうけど、著者の名前と研究テーマって、時々偶然とは思えない一致をするんですよね。
パワーズ オブ テン―宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅
ミシガン湖の湖畔で、ピクニックに来た人が昼寝をしている。そのごくありふれた世界をスケールの中心(10の0乗メートルつまり1メートルの世界)として、一方ではどんどんそこから遠ざかっていき、10の25乗メートル(約10億光年離れたところ)の世界までたどりつく。また一方ではどんどんその人を拡大していき、10のマイナス16乗メートル(0.1フェルミというらしい)の世界まで行きつく。
ページをめくるたびに次の10分の1(または10倍)の世界があるわけだ。それぞれの世界が1見開きになっていて、右ページにはそのイメージ写真、左ページにはそれぞれのスケールに特有な事柄の科学的解説がある。解説もどれも興味わくものばかりだけれど、でも理科が苦手な方なら、右ページの拡大縮小の写真を行ったり来たりするするだけでも読む価値はある。スケールを拡大・縮小するとはどういうことか、実際の距離感覚はどんなものか、といったことが目に見えてわかる。
たとえば、分子が見え始めてから(10のマイナス7乗メートルの世界)、原子核をゲンコツ大にと捉える(10のマイナス14乗メートルの世界)までには、1千万倍のステップがあるわけだ。こんなにも原子とは広範なものなのかと驚く。また、最近よく耳にするようになったナノテクノロジーの舞台がどれだけ、われわれのありふれたメートルの世界から離れているのか、といったこともよくわかる。
企画の勝利だ。もともとは、家具で有名なかのイームズ氏がつくった同名の科学映画がオリジナルだという。企画の勝利に、解説の丁寧さが加わり、鬼に金棒のとても質の高い作品になった。できるなら、科学の進歩にともなう改訂版も読んでみたい。
ビリー・ザ・ヒッツ
懐かしいの一言。甦る、甦る。
当時、お小遣いも少なく、かりた歌詞をせっせと書き写しました。
教科書の英語は思い出せないけど、この曲たちは聞きながら
どんどん歌詞が出てきて一緒に歌える曲の多いこと多いこと。
贅沢に大人買いした気分です。
・・・の割には廉価であります。
かつてビリー・ジョエルの曲に心惹かれた方、
心惹かれたけれどレコードを買えなかった当時の少年少女たち、
買いです。買い。
キラキラとしたあの頃の自分に出会えます。
スティング 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]
軽妙なテーマ曲、ポール・ニューマン、レッドフォードというだけで、わくわくしてきます。あまり深読みはせず、素直な気持ちで楽しみましょう。きっと幸せな気分になれますよ。