監査難民 (講談社BIZ)
自分は、マスコミ、コンサルタントなど、他者に厳しく自分に
甘い存在が大嫌いである。公認会計士も同じである。特に、
旧中央青山の某公認会計士。他企業の経営に対しては、
ぼろかすの批判をしていて、何の思いやりもないと思ってい
たが、自分の組織はぼろぼろだったわけで、中央青山が
解散したときは、少し、ざまーみろという気持ちであった。
この本を読むと、逆境の中、懸命に組織を立て直そうという
人もいたわけで、組織を平気で見捨てる人や外資に比べる
と同情する気持ちもないではない。しかし、多くの公認会計士
は路頭に迷うでもなく、別の監査法人に移籍できたわけで、
いい気なもんだという気持ちに変わりはない。
結局、かつては、監査法人というのは、自衛隊と同じで、存
在することだけが意味があって、本来の役に立つことは期待
されず、故に自らの利益拡大にのみ関心を持つ存在だった
のかもしれない。
他方、監査や評価にあまり多くの期待を寄せたり、厳格化を
図るのも、非現実的な話で、そこそこの役割とそこそこの報
酬を与えるのが、適切なのかもしれない。
なお、本自体は、事実を丹念におっているので、迫力があっ
て、いろいろ考えさせられた、いい本だと思います。
巨額粉飾 (新潮文庫)
なにこのおもしろさ!映画化されるんじゃないの!と言うのが率直な感想。
カネボウの崩壊した理由がほんとわかりますよ。
当時のカネボウに関する、テレビや新聞からの情報、あるいは勝手なイメージで
想像したカネボウとこの本を読み終えた後の真実。
こんなにギャップがあったなんて・・・・
我々はいかに、偽造された事実をあたかも、真実のように、
何でもわかった気で生活しているのだろうか。
大阪地検のフロッピー改ざんの件は、皆さんも記憶に新しいと思うが、
この本を読んでみると、地検が作者の不起訴となる決め手の証拠を掴んでくるではないか。
改ざんという証拠隠滅で、犯罪者に仕立てあげようとした地検とは全く逆のケースである。
地検はどちらの顔が真実なのか。
また山崎豊子作の「沈まぬ太陽」に登場する、日本航空の会長国見役こそ、
政府からの強い要請で招聘されたカネボウの会長である。
この本の作者が描くカネボウの会長と、山崎豊子が描いたカネボウの会長。
どちらの顔が真実なのか。
この本で、真実探しの旅に出られては・・・・