双子幻綺行―洛陽城推理譚
希代の烈女即天武后に仕える宦官と女官の美麗双子が、ひと癖もふた癖もある後見人や今をときめく売れっ子伎女さんなどの魅力的な脇役陣に固められながら次々と怪事件を解決していきます。最後の事件を読み終えたとき、「おお!、そうだったのね!」となり、「ううっ、続きが読みたい・・・」となること必至。
長安牡丹花異聞 (文春文庫)
題名をみておわかりの通り、中国を舞台とした時代小説の短編集です。
文章に冗長なところはないのですが、どことなく気怠るい雰囲気も漂います。
なかなか明かされない謎が絡むからでしょうか?
それとも艶ややかな美女のせいでしょうか?
とは言いつつも、作品ごとに趣向が異なります。
私は表題作に一番惹かれましたが、「殿(しんがり)」という作品の、最後の方にある場面は一幅の絵が想起されて~これもまた楽しめました。
中国の風物が今ひとつな方でも、食わず嫌いせずに挑戦してみてください...これから訪れる秋の夜長に...
十八面の骰子 (光文社文庫)
宋の時代、皇帝に任命された巡按御史は、身分を隠して、各地へ赴き、悪事を暴いていた。巡按御史の印として持っていたものは・・、とここまでは、水戸黄門っぽい設定。
主人公の若い巡按御史は、皇帝の落し子。それを隠して、相棒たちと、各地で、冒険と謎解き、そして、悪党退治をして行きます。勧善懲悪ものです。5つの中篇からなります。
重々しい事件や、陰惨な事件は、ほとんどなく、地方の役人や小悪党を懲らしめていくもので、明るい気分で、気安く読めます。主人公の相棒たちが、また個性豊かで、主人公とのやり取りは、掛け合い漫才っぽく、楽しいものです。
話自体もですが、宋の時代の食べ物や、文化、産業の等興味深かったです。世知辛い世の中を、憂さを忘れさせてくれる1冊です。
『七都市物語』シェアードワールズ (徳間文庫)
読みましたが、、、うーーん、というところです。
個人的には七都市の魅力はAAAやリュウ・ウェイなどのキャラクターにあると思っていたので、今回の作品は正直期待はずれでした。
主要キャラはもちろん登場しますが、ほとんど脇役扱いに近いです。
シェアード、ということで、まったく田中芳樹と同じものではなく、各作家の個性を無理に出そうとしたのでしょうか?各章にはそれぞれオリジナルのキャラが出てきてそれが主人公となっています。
最終章の「不遇な天才」は完全に別キャラです。
七都市ファンであれば、読んで損は無いですが、「絶対買ったほうがいい」とまでは正直おすすめできないです。
一度書店で立ち読みされてから購入を検討することをおすすめいたします。
漆黒泉 (文春文庫)
石油をめぐる戦い。
時代は11世紀の中国、宋。
婚約者を殺害された女性が、婚約者の意志を継ぐべく、
使用人、女優、老学者、兵器技術者と手を組んで、
婚約者の政敵である権力者を誘拐するのだが、
いずれも一癖二癖あるチームで
違いに腹を探り合い、虚々実々の駆け引きを繰り広げる。
誰が味方で、誰が裏切るのか、
誰が騙し、誰が騙されたふりをしているのか
スリリングな展開でワクワクします。
ただ、テレビの時代劇のようで、もう少し時代の香りが欲しいと思いました。