踊る大捜査線(1) [DVD]
フジテレビ最大のヒット作となった、記念すべき第1話。
今までの刑事ドラマでは語られる事の無かった実情を、コミカルに描き笑いを誘うも、根底にある警察内、官僚階級社会を風刺的に描き、笑いと涙と苦悩と感動をすべて盛り込んだ傑作シリーズの原点。
物語は脱サラ刑事゛青島俊作゛の赴任から始まり、管内で事件発生(今後の重要ポイント的事件)するも、緊急出動しようにもパトカーを出すには署長の判子と、いざ現場につくも所轄は邪魔者扱いと、警視庁という会社を青島は目の当たりにして、第1話というのにすでにやる気を消失(笑)。しかし、捜査が進み事件の犯人がつかまりドラマ急転。青島にとり運命的な犯人との出逢いがこの1話の最大の盛り上がりでしょう。
第1話では警察という実情が描きこまれ、まだ序盤で盛り上がりの欠ける展開ですが、この作品の基盤を確立しており、すでに伏線も多く張られていたりと、静かなスタートですが傑作のにおいをすでに発しています。
ただDVDとして1話しか収録がないというのは寂しい限り。映像特典も予告集だけと、これまた貧相。せめてNG集(6のみついている)くらいほしかったところ。解説書付再生は評価大。作品を良く知るためのポイントとなっています。
踊る大捜査線に学ぶ組織論入門
本書を面白おかしいお遊びの本、……と思って読みはじめたら大間違い。
なんと! 大まじめに会社観、組織観を論じる、とってもカタイ本なのです。
なんせ、「本気で組織論!」なんていうコラムが何箇所もあり、エラーイ学者の解説が続きます。コラムだけじゃなく本文にも、「ミシガン大学のR.リッカートは組織は様々な集団から構成されていることを強調した」いうような、よく聞けば知っていることを難しく言いなおしただけ? という言葉がバンバン出てきます。
全体的に難しい内容ですが、印象に残った個所を一つだけ紹介します。
『踊る大捜査線』の舞台となる湾岸署と警視庁は典型的な官僚組織です。
官僚組織というと、縦割り、硬直化している、などとマイナスイメージが付きまといますが、官僚制組織を最初に研究したマックス・ウェーバーはプラスに評価しているそうです。
ウェーバーは、官僚制組織の中に、職務執行の正確さ、迅速性、一貫性、没人格性(情実の排除)を保つための秩序など、大きな組織を効率的に動かすための特徴を見出しました。これらの官僚制の特徴は、人間が組織を運営する上で最も理にかなったやり方であり、これ以上の方法はないだろうというのが、ウェーバーの主張です。
官僚制も捨てたもんじゃないんですね。
本書は、ものごとを反対から見ることの大切さを教えてくれているようでした。
著者は、このドラマの魅力を次のように絶賛しています。
子どもや学生、若手は、青島刑事や恩田刑事に、ミドルは、室井やスリー
アミーゴスの両方に、もっと年上の人たちは、和久指導員に気持ちを一
体化して見ることができる。こういうことは、組織を学ぶ中に世代間連
携というテーマを浮かび上がらせ、非常に貴重なことである。
思ったより難しく、思ったより考えさせられる内容でした。眉間にシワをよせてお読み下さい。