ビーチ・ボーイズ―永遠の夏永遠のサーフィンU.S.A (KAWADE夢ムック)
すでに知っている情報も盛りだくさんではありましょうが、ビーチボーイズ研究は日進月歩で進んでおり、ファン、ビギナーのどちらも楽しめますね。
中山・萩原・佐野三氏の座談会は「あぁ、なるほど」という新発見がありました。お奨め☆
ビーチボーイズの屈折した歴史は、様々な角度からのファンを強烈に生み出してきた感があり、そういう意味では一人の著者が書く紹介本より、様々な意見を載せたこのような本の方が、初心者はもとより、コアなファンも、より冷静に色々な面が見えて良いのではないでしょうか★
ゴッド・メイド・ザ・ラジオ~神の創りしラジオ
失われた歳月を取り戻すが如く、80年代後半から精力的にソロアルバムを数多くリリースし、ツアーをこなしてきたBRIAN WILSONプロデュースで、サポートメンバーもソロ活動のバックバンドメンバーを多く起用し、かつ大半を作曲しているため、ソロアルバムの延長線上にある印象を受けました。
しかしながら、MIKE LOVE,AL JARDINEやBRUCE JOHNSTONのVOCALが聴こえてくると、待ち焦がれていたTHE BEACH BOYSが帰ってきたことを感じさせるアルバムです。
飛び抜けた名曲はありませんが、佳曲ばかりでついつい繰り返し聴いてしまいました。
THE BEACH BOYSファンはもとより、バンドの曲を全く聴いたことのない方にもお勧めします。
個人的には91年以来、21年ぶりとなる今年8月の来日公演(前座はAMERICA)には万難を排して、馳せ参じたいと思っています。
ウォーターボーイズ スタンダード・エディション [DVD]
映画は今更言うまでもなくご存知のとおり何度観ても最高ですよね、今日も観ました。
そこで私は初回デジパックを持っているのでDVDの内容について、とにかくおもしろいです!
本編DVDは、音声を替えると監督とボーイズ5人が映画を観ながらコメントしていて、特に夜の海岸の鈴木・早乙女シーンは大笑いです、全然告白なんかしてません。また予告やTVCMは本編DVDに収録されています。
特典DVDには、◎メイキング2本(28人のアツイ夏で彼らの努力に泣け・クランクイン前夜みんなをまとめる妻夫木クンを尊敬し、矢口映画の作り方で最悪のシンクロシーンの撮影に笑い・・・)、◎サイドストーリー5本、◎フルバージョンの病みあがりブラザースバンドやゲーセンのダンス練習、◎ロケ地めぐり・・・他、本編より長い特典映像ですから、見ごたえ十分です。
余談ですが、この映画ではアフロとホクロばかり強調されますが玉木クンやっぱこの頃からカッコいい所がところどころに見えますよ。
昭和のエートス
本書は内田樹のエッセイ集だ。どうせまたブログ本だろ?と思うなかれ。
本書に収められているのは、さまざまな媒体に氏が寄稿した文章をまと
めているものであって、けしてブログから引っ張ってきたものではない(ま、
本人がブログに再録したものもあるのだが…)。
ここの点には二つのメリットがある。一つは、多様な読者に発信している
ため内田氏本人がブログのいつもの文章よりもいくぶん構えて書いてい
ると思われるところだ。最後に収められた鷲田清一に依頼されたカミュ論
にしろ、他者からの依頼をまっとうしようという使命感が感じられる。いや、
べつにいつもいい加減なこと書き連ねているというわけではないんだけれ
ど。いつもならババッと飛ばしぎみに箇所も、懇切丁寧に説明している。そ
のため一段落も長い。文体が「正装」をしてるといえばいいだろうか。
もう一つは、依頼された原稿であるため、書くネタが他者によってすでに決
まっているということ。人間易きに流れるというもんで、ブログだとどうしても
自分の書きたいこと、書きたい形式、書きたい問いに隔たりができてしまう。
その点依頼主が「内田氏本人以外」だと、いつもとはまた別の視点が楽し
める。内田氏の中に実はあったビーチボーイズへの思想的な恋慕や、白川
静の深遠な知性への畏怖など、普段ブログではあまり書かない(書いたこと
はあるかも?)内容の小論も収められているのだ。
本書のテーマは「昭和」である。内田氏が「昭和人」と定義するのは、敗戦を
十代そこらで経験した人たちのこと。人生の真ん中で「断絶」を経験し、内な
る葛藤を抱いたまま、戦後復興を成し遂げていった彼ら「昭和人」たちへの、
内田氏の尊敬の念は計り知れない。彼らの「エートス」は今や戦後民主主義
という蔑称によってカテゴライズされる遺物としてかろうじて残っているのだろ
うけれど、この本の全編を覆うのはそのような遺物、「いたたまれなさ」への
憧憬に他ならない。