フルセット! 5 (少年チャンピオン・コミックス)
「お前を転校させたのは おれについてる神様だ」
素直になり難い性格の天才・会田君はそう言って入谷君を励まします。
実は会田君て、すっげーいい奴だったのです。
入谷君の母親が、入谷君の行動の阻害要因として登場します。
入谷君の言葉から、両親こそ彼の自己嫌悪の原因だったと推し量れます。
子供のことを思っているようでいて、子供のためにならないことを繰り返していたようです。
母親は試合中の入谷君を見て、自分の間違いに気付きます。
「ここまで来れたのは 君のおかげだから」
入谷君はチームの主将から、そう言われます。
「ぼくはこの先 どんな事だってできる」
そう思いながら入谷君は、試合に挑みます。
これこそ、彼が欲していた到達点です。
この物語は、入谷君にこの台詞を言わせるためにできたともいえる一言です。
この先の構想もあったそうなので、物語がここで終わってしまうことは、ファンとして残念でなりません。
しかし、入谷君の心の物語としては、ひとまず完結ということで納得できます。
この先は、新たな物語になってしまいますから。
同級生の女の子(特に日野灯さん)に、もっとストーリーに絡んで欲しかったという気はします。
入谷火野少年の心の物語、ここに完結。
梅田先生、有難うございました。
いつかまた、その後の彼らの活躍を読ませてください。
ブルーイッシュ 2 (プリンセスコミックス)
ほのぼのとした1巻から打って変わり、ハラハラする2巻です。
三兄弟妹の過去が絡む、時を隔てた物語へと展開してゆきます。
善意、好意。
爽やかな読後感でした。
これだから、梅田先生の作品は、大好きです。
完結してしまったのが、残念です。
樒メンバーが個性的で魅力的なので、欲を言えば、彼らをもっと深く掘り下げて紹介して欲しかったなと思います。
特に楓さんを。
この物語の続編を、いつの日か描いていただけたら嬉しいです。
梅田先生の次回作に期待しています。
それから、単行本未収録作品も、いつの日か総て読みたいと願っています。
幻仔譚じゃのめ 7 (少年チャンピオンコミックス)
「じゃのめ」の最終巻です。
心温まる物語が終わってしまうのが残念です。
最後も、梅田クオリティで締めてくださいました。
細部について説明不足の感はありますが、納得のゆくエンディングでした。
物語全体を通して、「元々誰も悪意なんか持っていないんだ」ということを語られていたように思います。
単行本での書き下ろし4ページが嬉しかったです。
朝灯ちゃんにもうお目にかかれないと思うと、寂しいです。
いつの日か、続編を読ませていただきたいものです。
ところで、梅田先生は、火と太陽に拘りがあるように見受けられます。
この点について、いつかご本人の説明を聞けましたら嬉しいです。
梅田先生の次回作に期待しています。
フルセット! 4 (少年チャンピオン・コミックス)
市総体予選三試合目の途中で負傷した入谷君は、怪我を隠してトスを上げ続けます。
彼を必要とする人達の期待に応えるために。
入谷君の必死の努力がきっかけとなり、周囲の人々もそれぞれ自分の心の問題に気付き、それを乗り越え始めます。
会田君が入谷君を負ぶって退場するシーンは、ここまでの展開を象徴しています。
実は会田君も、探していた自分の居場所を総体予選の中で見つけていたのです。
会田君のお母さんの「変なの・・・別人みたい」という言葉が、それを裏付けています。
杉原中バレー部は新たな目標に向かい、チームとしての活動を開始します。
幻仔譚じゃのめ 5 (少年チャンピオン・コミックス)
朝灯の友達、紗矢が巻き込まれた事件の、後半から始まります。
どこにも悪意はありませんでした。
紗矢が巻き込まれたのは、彼女の優しさ故でした。
皆、それぞれの立場で、愛するものを守るための努力をしていました。
悲しいけれど、爽やかな終わり方です。
そして、紗矢は、朝灯と邑の理解者となります。
やはり、躊躇いなく。
他の不思議な話の中にも、優しさが溢れています。
誰も元々悪意なんかないんだという思いがこもった、第五巻です。