Live at the Royal Albert Hall [DVD] [Import]
お約束の様式美と超絶プレイの連続で往年のファンにとっては涙なくして見ることはできない映像だ。
最新鋭だったシンセサウンドも、3人で演奏してるとは思えないオーケストラルなアンサンブルも当時のまま。
しかし、そのスタイルにおいて、いまの時代に特筆すべきものは何もない。
ところが筆舌に尽くしがたい演奏テクニックとパフォーマンスは、円熟味を増し喜々としてなお一層冴えわたる!
当時のファンが擦りきれるほどレコードを聞き返してようやく理解できた密度の濃いサウンドは、今なお健在だ。
耳の肥えたリスナーにとってさえ、見応え聞き応え十分すぎるほどなのだ。
この凄まじいオーラと驚愕のサウンドを、今のオーディエンスは身じろぎもせず受け止めるしかないだろう。
決して笑いを堪えているのではないことは、ライブ映像から一目瞭然である。
ELPは、これからもまだまだ進化し続けるようだ。
唯一体型だけが進化し続ける、ほのぼのレイクを除いては、ね(笑)。
パーム 34 蜘蛛の紋様 Ⅴ (ウィングス・コミックス)
palm一連の作品は、時が止まるような感覚になります
いくつもの交差する時間、人、感情。
運命とは? 偶然なのか、それとも必然であったのか。
それすらもわからなくなっていく出来事をめまぐるしく駆け抜けていくように書き出しながらも、どこか悠然とした静かな空間に満ちている
生きていくことの悲しみもやるせなさも喜びも感じさせてくれる作品です
読んだことのない人はぜひ一読を
Thrust
1974年8月、サンフランシスコ、ウォーリー・ハイダー・スタジオで録音。独特なアルバム・ジャケットは、Rob Springettの手によるモノだ。
マイルスの怒濤のようなセッションにおいて、自身の中の音楽的変貌を最も劇的に遂げたのはハービー・ハンコックだとぼくは思う。生粋のアコースティック・ジャズ・ピアニストだったハービーはマイルスとの時間の中で完全に『改造』された。そして誕生したのは音楽史上で類を見ないほどの音楽的多重人格者だった。
1973年の『ヘッド・ハンター』以来、ハービーは急速に自らの中に発生した新しい音楽的人格を発展させていく。つまり『エレクトリック・ハービー』だ。新人格はアープ・オデッセイ、プロ・ソリスト2600、クラヴィネット、オーバーハイムといった、その頃続々輩出された名器たちを操り、新次元の音楽を創造していった。本作はその過程の一枚と言える。
ハービー自身も周りを固める面子も、その『新人格』を愉しんでいる。本作ではポール・ジャクソンのベースがスゴイ。
Pacific Street
ジャケ写から攻撃的なロックをイメージしたらそれは違う。80年代半ばのネオアコ・ブームのなかで登場したバンドなので、そういう位置づけがされたりしたけど、それも違う。たしかにアズテック・カメラに似たとても優しいメロディアスな曲ばかりなんだけど、ストリングスやブラスを多用するなどアレンジが凝っていて、じつに華麗。名曲といわれる「サンキュー」もバート・バカラックあたりの雰囲気。そんななかにロックの青臭さのようなものが感じられて、そこがいい。80年代が残した名盤の1枚だと思う。