セックス・チェック 第二の性 [DVD]
緒方拳が安田道代を陸上選手として鍛えまくるスポ根映画『セックス
チェック第二の性』はめちゃくちゃ面白い映画。これは傑作!
監督は増村保造。『卍』も狂ってましたし『赤い天使』もグロな
描写が冴えわたる素晴らしい作品でした。そんなわけでこの監督は
すごいと思っていたのですがこの作品、ぶっ飛び度合いでは、十分
現代でも通用するものがあります。安田道代が女だと思っていたら
半陰陽で男とセックスチェックを行った結果出てしまい、これは
いかん、男になれと命じてきたがこのままではオリンピックに出られ
ないぞと緒方拳が朝は陸上特訓、夜はひたすらセックスという鬼
スケジュールで半陰陽を女に改造するという不気味なストーリーが
緒方拳の狂気すら漂う自己中心ぶりと、その自己中心の犠牲として
レイプされてしまった小川真由美の度重なる睡眠薬による自殺未遂
とそれに伴う発狂と座敷牢といったこれまたぞくっとしてしまう
映像、などなどで彩られ、最後は、女になりすぎて陸上で負けた
安田道代を、オレが見守っていくんだと緒方拳が寂しげに語る
ラストでなぜか不思議な感動を覚えてしまいました。とにかくこれ
面白い。緒方拳のエゴイズムには震えますよ。
法然讃歌―生きるための念仏 (中公新書)
親鸞について書かれたものは多い。しかしその師である法然に関する本は少ないのではないか。本書は法然の全体像を理解するのに格好のものだ。平安の世から鎌倉幕府の時代にかけて、念仏の教えがどうしてひろまったのか、そして何故弾圧されたのか。その高度に政治的な領域にまで及んで、鋭い考察がなされている。残念なことに、入門書としてみれば政治がらみの駆け引きや謀略についての論述はやや複雑すぎたきらいがある。しかしながら、法然というひとが法王、貴族といった要人と交わりながらも、決してその政治力を求めなかったこと、さらにかれの「浄土」の教えが呪術とは無縁なものであったということを知って、改めて法然という存在の大きさを思い知らされた。