シュールリアリスティック・ピロー(紙ジャケット仕様)【2012年1月23日・再プレス盤】
女性ロックボーカリスト時代の黎明を告げる記念すべきロックチューンSomebody to Loveと、ドラッグ体験に不思議の国のアリスを絡めた歌詞で知られるWhite Rabbitの収録作として一般的には語られる事が多いようだが、意外にも彼女のリードはこの2曲だけで他はコーラス、しかも全て低音担当なのが特徴である。男性陣とスリックのボーカルが絡む曲が7曲(tr.1-4,6-8)、これらの歌声の混じり具合が実は肝で、聴き込んでいくとわかるこのアルバム最大の魅力かと思う。
ボ・ディドリー調のリズムに乗りながらスリックがオブリガート的な伴唱を決めるShe Has Funny Carsや、ビーチボーイズの完璧な調和とは異次元にあるフリーキーな掛け合いが絶妙のMy Best Friendが典型。繊細な男性リードボーカルの下側から低く温もりのある「女性」が包み込むTodayのような曲があるかと思えば、背後から凄みの効いた「おんなの声」がうねうねと絡みゾクゾクさせられるD.C.B.A.-25のような曲もあって、男女混声ロックボーカルの醍醐味が十二分に楽しめる。60年代Summer of Loveの香りも高いこのアルバム、一押しです。
フライ~ジェファーソン・エアプレイン・ストーリー [DVD]
「サイケデリック」「フラワームーブメント」「ベトナム戦争」・・・60年代アメリカを語る上で、このバンドの存在は、絶対に切り離せない存在であることは間違いありません。
今までは、ウッドストック、モンタレー、そしてローリング・ストーンズの映画「Gimme shelter」の一部(バンド名が少し変わってますが・・・)で少しだけ観ることは出来たのですが、これだけ集まった映像集は、恐らく最初にして最後と言っても過言ではないでしょう。
ゴダールが撮影したニューヨークのホテルの屋上でのライブは、有名なビートルズの屋上ライブを思い起こさせてくれますが、興味深いのは、こちらの方が、先に録られているということです。
バンドの紅一点のグレース・スリックが、裸足でステップを踏む姿などは、アイドル歌手のようで、とても可愛いです。
個人情報を載せられないので詳しく言えませんが、「Jefferson Airplane を研究」し続けているサイトがあるので、御自分で検索してみてください。内容の充実ぶりに、とても感動してくれると思います。
このバンドの素晴らしさを知る人が、リアルタイムで聞いていた人達だけで留まってしまうのは、あまりにもったいないです。
少しでも多くの日本のリスナーが、結成40年目にして再びこの国の上空を飛ぼうとしている雄姿(ゆうし)に気がついてくれることを切に願います。