デメキング 完結版
中途半端に連載打ち切りとなってしまったもともとの作品に2〜3ページ新たに書き下ろしを加えたバージョンってことで完結編って考えると全く納得できない内容になってしまいますけどその後に作者のロングインタビューが載っています。
ロングインタビューはメイキングオブ「デメキング」っといった内容でもともとのプロットやら作者の目指していた方向性、裏事情やらがわかって妙に納得できスッキリします。
まず、おどろいたのは作者としては自分の作風や方向性を変えたくてSF冒険もので読者が次を期待する様な大衆受けするエンターティメント性のあるストーリー物として「デメキング」の連載を始めたという事。
私は単行本化されてから読んだのでちょっと変わった自分探し的な青春ものって印象を受け最初からそういう意図で描かれた作品だと思っていました。
アイディアとしてはいろいろあった様で(インタビューにすべて書かれてます。ぜひそちらも読んでみたかったというような内容でした。)計画通りに描けばそれはそれで面白そうでエンターティメント性のあるストーリーものとして結構成功していたようなのにどうしても描けない。
結局はいつもの私漫画的なスタイルになってしまいそれ以外は描けないという事が自分でもわかった時点で連載終了となったようです。
そうとう純粋で無器用な人なんだなと言う事がわかります。
それでおもしろいけど妙にアンバランスで中途半端な終わり方の作品だと思った理由がわかりスッキリしました。
今回、新たに書き加えた分はハッキリいって「ギャフン」って言いたくなるような内容でない方がいいとも思いますが作者自身がこの作品を失敗作だと思っていてもうこれ以上は描かないという強い意思表現の方法だと思えば納得です。
「デメキング」そのものは作者のもともとの意図に反した内容だったとしても単純に漫画として面白く読めるし悪くない作品だと思います。
後のインタビューや幻のプロトタイプ版を読む事によって作者の葛藤などもわかり特に今、自分の進むべき方向性などを模索中の人達にお進めの一冊です。
やはり人間、人生のどこかで自分と折り合いつけなくちゃいけない時っていうのがきっとあってメジャーに進みたいけど自分にはコレしか出来ないって作者のいましろたかしさんが納得したって意味での「完結編」でもあると思います。
週刊真木よう子 中野の友人 [DVD]
出た!山下監督汁が出まくりの逸品。
極端に台詞が少ないのに、泣かせるあの不思議な世界は
たった30分のドラマにもちゃんと健在。
そして真木よう子は、やっぱり天才的な女優なのだった。
盆堀さん (BEAM COMIX)
少し下を向き、深刻な表情で街を歩く姿。
タバコを持つときのピンと伸ばした指。
だらだらとダメな大人の生活が描かれている中に
こうした一種独特のダンディズムが漂っている。
だからすべての男たちは、妙にかっこいい。
いつもながらのすばらしい漫画だが、
「漫画界の世界遺産」とか、内容とまったく
相容れない悪趣味なアオリ文に興ざめしたので星を一つ引いた。
月刊コミックビーム 2012年3月号[雑誌]
丸尾末広氏が夢野久作氏の原作に挑んだ『瓶詰の地獄』前篇28頁が掲載。
楽園の如き孤島に二人きりで漂着した兄妹の見出した幸福とその後陥る地獄を描いて居ます。
氏の江戸川乱歩を始めとする昭和レトロシリーズでは背徳的で有りながら一番耽美的な内容で後篇(5月号掲載予定)にも大いに期待が持てます。
巻頭カラーでいましろたかし氏『原発幻魔大戦』が新連載。
内容は前作の「ぼけまん」の続編です。
凡人サラリーマンが2011年の東日本大震災を機に市民活動に目覚めていく様子を淡々ととぼけた調子で描いて居ます。
特別読み切りで、久寿川なるおさんの「鉄ヲタ少女」シリーズが久し振りに掲載。
鈴木みそ氏「限界集落温泉」があっさりと最終回。
連載陣では三宅乱丈氏『イムリ』ではデュガロ呪大使の権謀術数に長けた怪老人振りを大いに発揮し、悪の魅力を振りまいて居ます。
上野顕太郎氏「夜は千の眼を持つ」は150回連載記念の応募イラストを使用した無茶な企画に呆れて笑える一篇を寄せています。
他の作品も必ず何か心に引っ掛る点が有り、読み飛ばせません。
本号ではヤマザキマリ氏の「テルマエ・ロマエ」と新井英樹氏「SCATTER あなたがここにいてほしい。」が休載。
オマケの「テルマエ〜」クリアファイルはスポーツファンには嬉しいサプライズが有ります。
次号では映画公開が近づいた人気作「テルマエ〜」の大特集が予定されています。