未完成交響楽 [DVD]
シューベルトのこの交響曲が何故完成されなかったのか、真相は分かっていません。
この交響曲は、第一楽章と第二楽章は完成されていますが、第三楽章が冒頭のスケッチが作られただけで中断しています。これは映画の中にある通りです。
未完になった理由は諸説あります。
・とりあえず第二楽章まで完成させ、いずれ続きを書こうと思ってそのまま忘れてしまった説。
・第二楽章までの出来が巣晴らし過ぎて、後が続かなかった説。確かに映画の中でも紹介されている第三楽章の主題は余り良い出来とは思えません。
・一番面白いのは、第一楽章と第二楽章を3拍子で書いて、第三楽章も書き始めたらやっぱり3拍子になってしまって、シューベルトが「あれ? これはまずいぞ!」と中断してしまった説。
いずれにせよ、第一楽章と第二楽章だけで単独の作品と見做しても充分深く、充実した不滅の名曲であることは間違いありません。幸いなことに、第三楽章のスケッチを元に続きを作ろうなんて考える野暮な学者もいません。
という訳で、この映画はもちろんフィクションなのですが、とてもストーリーがロマンチックで素敵です。冒頭、質草のギターを引き受けに来るシューベルトのシルエット。ギターを愛おしむ手付き。どんどん引き付けられます。学校で分数を教えていたはずが、いつの間にか「野ばら」を作曲していたなんて、本当にありそうで笑えます。
画質、音質ともに古さがあるので星4つにしましたが、もし現代のクオリティで作られていたら文句なしの星5つです。ただ、現代人の感覚では、もうこんなロマンチックな内容の作品は作れないと思います。
素直に音楽が好きになれる名作です。
ショパン (新潮文庫―カラー版 作曲家の生涯)
題名のとおり、ショパンの生涯について書かれた本です。
ショパンの両親の話から、ショパンが生まれ、育っていく過程が年をおって書かれています。
驚くのは、この本の写真の多さ。
全体の半分近くのページを写真に割いています。
文章だけでは分からない、ショパンが過ごした場所の景色や様子を感じることができます。
ショパンと関わった多くの人の肖像画もあります。
ショパンの生涯について、簡潔にまとめられているので、興味のある人はぜひ読んで下さい。
debut
CD2枚組です。まず,2枚目の彼のオリジナル曲を聴いてみてください。
1曲目は12歳のときの作品だということですが,子供とは思えない鋭い感性に驚きます。
どの曲も,晴れた日の川のきらめきのような,
でなければ,虹色の空に光の粒がこぼれるようなイメージです。
高音部が奏でる繊細な旋律と,左手の細かいアルペジオで,
ピアノの音そのものの美しさや,音の並びの美しさを楽しみながら弾いているように思えます。
ただ,個人的な好みかもしれませんが,1枚目の「英雄ポロネーズ」や「愛の夢」なども
同様に音の美しさの追求に徹した演奏のような気がします。
それはそれでひとつの形としてよいのかもしれませんが,
これから年を重ねていくにつれて,勇壮さだとか,切なさといったような感覚も
表現できるようになると,さらにすばらしいのではないかと思いました。
まだ二十歳の若いピアニストです。
ぜひがんばってほしいです。