太陽の子 [DVD]
灰谷健次郎の同名の小説が映画化されたもの。
小説にはなかった、お父さんの過去などが描かれている。
お父さんが沖縄戦でどのようなことがおこったのか、などが見えてきて
ラストなぜああなったのか、がわかりやすくなっている。
穿った見方をしてしまうと、ふうちゃんのせいでラストああなってしまったかのようにも見えてしまうのが残念。
ふうちゃん、キヨシ、ろくさんなど映画初出演の役者さんたちを使い
リアリティが出ている。
ところどころ出てくる沖縄民謡。意味がかいてあってわかりやすい。
本だけではわからなかった雰囲気が素敵な演出。
ラスト、天皇誕生日の皇居の様子がテレビで映し出されているのは
よけいな意味をもたせてしまうので蛇足かと。
全体的に、沖縄・昭和の美しさとその悲しさの対比が素晴らしく
いい涙が流せた作品でした。
兎の眼 [DVD]
素晴らしい!!
タカをくくって見始めましたが、いやあ、
すっばらしい映画でした。
関西の貧困都市部へ赴任した壇ふみさん
演じる先生と、小学校の生徒たちの
涙ぐましい触れ合いと格闘・・・・。
新克利さん演じる教師ともども、
これこそ教育者の鑑だ!
と言いたくなる奮闘の模様を、
ある時はシリアスに、ある時はメルヘンタッチで描いた、
「キューポラのある街」以上の快作です。
こうゆうことこそ、「人間関係」だ、と感じさせられました。
ドラマも映画もこれ、といって残っていない
壇ふみさんの若き日の凛々しさ観られるだけでも
価値あり、です。
僕の中では「典子は今」に並ぶシリアスメルヘンの
傑作ですねえ。
あ〜これダウンタウンの松本人志さんにみせたい。
号泣するやろなあ、自分たちの子供の頃思い出して。
ヒューマンな感動とはこういうもののことを
言うのです!!
太陽の子 (角川文庫)
『兎の眼』を読み、灰谷さんの他の作品も読みたいと思って、この作品に
辿り着きました、素晴らしい作品でした。多くの人に読んでもらいたいと
思いました。
こころの病気、戦争、沖縄、こころのやさしさなどについて考える機会と
なり、また心から感動しました。「痛み,辛さを知った人こそ、真のこころ
のやさしさを育むことができる」、ふうちゃんが苦しみ、悲しみながらも
成長してゆく姿に胸打たれ、これまでの自分を恥じました。日本人として
知っておかなければならない過去の事実を学び、また相手の気持ちをより
一層考えられるひととなれるよう努力したいです。
天の瞳 少年編〈1〉 (角川文庫)
「子供にはまだわからん」と思い込む大人
「大人はどうせウソツキ」と決めつけ子供
大人と子供の関係って、たいがいが一方通行。
大人→セッキョー / 子供→わがまま
この物語では、そんなアキラメをひっくり
返す様な「話せる大人」がたくさん登場する。
大人の理性と子供の感性をあわせ持つ灰谷せんせ
だからこそ、大人と子供どこかキット接点が
あるんじゃないかと思わせてくれる本。
・・・けして妥協点でなくね。
PS●このシリーズ、読みごたえも、成長しやがるな。
親子コミュニケーションを考えたいなら→5★『最後の家族』
中学生を見直すなら→『希望の国のエクソダス』村上龍
天の瞳 最終話 (角川文庫)
灰谷先生の遺稿ということもあって、分量はかなり少なくほぼ前作の続きを少し先まで読めたという感じです。おそらくですが、推敲などもあまりされた形跡がなく、終わり方も本当に文節の途中で切れて終わっていますので、逆に生々しいです。なんだか灰谷先生のお墓参りをしているような・・・なんでしょう、読んでいてとても寂しく、でも心の中で「先生、ありがとうございました」と言っている自分がいました。
ここまでくると内容のクオリティうんぬんに言及するのはナンセンスで、「天の瞳」の世界に少しでも長く触れていたい人は是非買って読んでください。著者のライフワークが未完で終わったことは本当に残念に思います。