Cosmogramma (WARPCD195)
英Warpレーベルの奇才Flying Lotusの3rdアルバム。個人的には前作より好きです。
まずビート。前作のようなつんのめったロービートは鳴りを潜め、シンプルながらもミドル〜ハイテンポのブレイクビーツを心地よく鳴らしている。民族楽器を使用したりと、かなりパーカッシブで表現の幅は広いです。今回は上物に使う、生音やボーカルを引き立てるっていう目的もあったんでしょう。主張し過ぎず、でもしっかり腰に来るビートという印象です。
ファットなベース音と高圧電子音はそのままに、ハープ、ストリングス、サックス等の生楽器が幽玄に旋律を奏でる。むやみに主張はせず、でもしっかり存在感を際立たせる音の使い方が上手いです。音の足し具合、引き具合に美学を感じさせるハイセンスな音空間で聴き手を飽きさせません。
白人がエレクトロニカ(=白人文化)の畑でヒップホップ(=黒人文化)に影響されてエレクトロニックミュージックの最先端を作りだしたのが同じWarpレーベルのBOCならば、黒人自身がエレクトロニカ(=白人文化)の畑の中でブラックミュージックの最先端を作ったのがFling Lotusといったところか。前者は無機的で後者は有機的。
いずれにせよ、ジャズ、ファンク、ソウル、ヒップホップ…、ブラックミュージックの系譜における最先端をリアルタイムで体感出来る1枚。