日本沈没 第二部
今時、国家の財政基盤を書き込むのはリアリズムを出す手段として必須だと思う。なのにそれがない。
国土を失って国民が世界中に離散した日本政府の政府の財政基盤はどのように成立しているのか?
国家予算は世界各地からどのように徴収されているのか?
沈没前に日本が国際社会から借金した国債はどのように返還されているのか?
あるいは日本政府が海外に避難させた資産はどう管理されているのか?
国土がない状態で、日本政府はどうやって成立しているのか?
議会や法や裁判所がどういう風に機能しているのか?
日本国憲法との関連はどうなっているのか?
小松左京が描くSF小説はそういう思考実験的なエッセンスこそが味であるのに、そうした根本的な国家のメカニズムを描かずに、世界に散った日本人が、国土を失ってもまだ政府があるという状態を全く何の疑いもなく既定のものとして描いていて不満。