むだい
ややおぼつかないギター・ロック・バンドだ。Vo.の秀吉の声は少し頼りなく、決してうまくなんかない。
だからこそ、「秀吉」なんて考え無しみたいなバンド名で「むだい」なんて気の利かないタイトルにして、おまけにボンヤリメガネの男の子ルックスで歌ったのだね。ジャケットもイノセントな少年のイラストにしちゃったんだね。
逆転マジックだ。「まだうまくないんですけどギターを抱えて歌い始めたんです、聞いてください、一生懸命歌いました」というメッセージがものすごいベクトルでリスナーの胸を打つ。くっそー、お前ら実は知能犯だな。
心に残るギター・リフや、大多数の心をつかんでしまうような必殺のサビは、まだない。だが、その片鱗は見える。「さざなみ」でシャープなカッティングとリズムによって表現される疾走感。現在の持てる力を総動員して工夫したらしい「夕の魔法」の曲展開とアレンジ変化。
これから伸びようとして今の精一杯を歌う。その未熟さ自体にこんなに魅力を感じたのは、私は初めてかもしれない。
ソラニン スタンダード・エディション [DVD]
大人になるということは、「退屈な日常(あるいは陳腐な幸せ)を受け入れる」という理想主義の敗北なのだろうか? 多くの若者が悩み共感する、この古典的な問いを軸に物語は進んでいくが、それに対して、この作品は否定も肯定もしない。種田は事故死の前に、その大人の考えを受け入れつつもなお否定しているようだが、同時に「何かを見つけた」とも言っていた。明確な答えは未だに出ないが、自分の理想を求めて、少しずつ前に進んでいく…。そんな生き方を提示したことが、原作者・浅野いにお氏の文学性であり、同時にこの作品が多くの若者に支持された点ではないかと自分は思った。
映像やサウンドは原作のフィーリングを忠実に再現している。東京郊外の生活感ただようアパートや河川敷の映像も実に青春映画っぽくて良いが、特にアジカン後藤正文氏の作曲によって新たな命を吹き込まれた歌「ソラニン」が素晴らしく、もうそれだけでこの作品は3割増しで良くなっている…と個人的には思う。宮崎あおいが一生懸命に歌うライブシーンも最高に良かった! 恋人との別れと再生を描いた映画、とも言えるので、彼女彼氏と一緒に観る映画としてもお勧め。
最後に蛇足ながら、タバコを吸い缶ビールを飲みながらテレビに向かって格闘ゲームに興じる宮崎あおいの姿が、とてつもなく新鮮で面白かった(笑)
うみべの女の子 1 (F×COMICS)
浅野いにおの「うみべの女の子」(1巻)を読了。これぐらいの作品でなきゃ、感動は生まれません。読者をはっきり限定している作品。その中で作者は読者に問うている。「俺の世界観を認めるか」と。認められない人は読まなくていい、ときっぱり作者は作品を通して言っている。そんな作品。当然私は読みます、と宣言して今後も読みます。
世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
本屋さんにふらっと立ち寄った時に表紙が綺麗なマンガを見つけて、「これ本当にマンガかな?」って興味を持って手にとってみたのが、このマンガとの出会いでした。
パラパラとめくってみると絵が綺麗で透明感がある爽やかな雰囲気がすごく気に入って購入を決めました。
だから私にとってはぶっちゃけストーリーなんかは二の次で、他のレビューに書いてある『内容がない』なんてのは関係なくて、このマンガのすべてはビジュアルなんです。
確かに、強烈なメッセージ性のようなものはないけど、私はこのマンガを好きになれてよかったと思っています。
例えそれが‘絵’という最も表面的なものでも、それはこの作品の立派な長所のひとつだと思います。
私のお気に入りはキスシーンでそこが堪らなく好きです。
潤いと清潔感が溢れていて、見ていてゾクゾクしてきちゃいます。
あと全体に漂っている【青春の香り】が私は好きです。
ソラニン
始まりがギターだけで、その後だんだんと盛り上がってくるのがいいですね。
ついつい聴き込んでしまいます。
正直初めて聴いたときは「う〜ん、どうなんだろう」って思ったんですが、聴いているうちに味が出てきて、すごく心に残ります。
聴けば聴くほど良い曲!です。