モーツァルト:クラリネット協奏曲K.622、ドビュッシー:クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲、武満徹:ファンタズマ/カントス(1991)
クラリネット協奏曲、速いテンポ、ドイツ系の奏者としては明るい音色のマイヤーは、初めて聴いたときは、ライスターやプリンツに比べてチャカチャカしてあまり好きではなかったが、次第にこの爽快感は代え難いものになってきた。
パユのフルート協奏曲でも同じだったが、この原因がアバドの指揮にあるのは間違いない。しなやかで、中性的な明るめの音色で、奇をてらわず、落ち着いた伴奏が、モーツアルトを引き立てているのである。軽いテンポ、低音を強調しない室内学的なバランスで、明るい音色をBPOから引き出している。このために、何度聴いても気持ちよいのだ。
もちろん、深みとか、奥行きとか、寂しげなアダージオとか、瞑想的な雰囲気とか、そういったものは聴こえてこない。そこが、評価の分かれ目だろう。
カラヤンでなく、アバド、そして今のラトル時代のBPOなら、このマイヤーを首席奏者に迎えていたに違いない、そう思わせる演奏ぶりである。
クラコンに聴き飽きた方々に、お勧めしたいと思う、新時代の演奏の一つ。
ドビュッシー、武満も、安心して聴ける演奏であり、他の演奏のようにギラギラしすぎない、中味の詰まったオケの響きが、本当に嬉しい。
録音も、EMIらしくない高音が強調されすぎない、美しい録音で楽しめます。
ブラームス:クラリネット五重奏曲、他
「歌」とアンサンブルのセンスのないザビーネ・マイヤーを相手にしたアルバン・ベルク四重奏団の苦闘の記録。終楽章に向って確かに感じられる「熱」は、むしろ四重奏団の連中がやけくそになっているというふうに感じられます。したがって、間違いなく「スリリング」ではあっても、「完璧」などとはほど遠い演奏です。
これに対して、弦楽五重奏のほうは、文句なしの名演です。そのためだけにでも購入の価値はあると思います。
モーツァルト:クラリネット五重奏曲
ブラームスは平均点以上だと思うが、モーツァルトの五重奏曲は譜面に無い装飾音が多くて閉口させられる。アドリブを一切否定する訳ではないが、第3、第4楽章のように繰り返しの多い譜面で、同じような装飾を繰り返されるとうんざりさせられる。いくら演奏が上手でも、これではセンスが無いと言わざるを得まい。
ウェーバー:クラリネット協奏曲第1番、クラリネットと管弦楽のための小協奏曲、クラリネット協奏曲第2番
マイヤー(ザビーネ)はその卓越したテクニックと音楽性を駆使し、ウエーバのクラリネット協奏曲をそつなく仕上げている。
カラヤンに認められたその才能をあますことなく表現している秀作と思う。
ベスト・モーツァルト100 6CD
100曲入ってるということで、どのような順番で曲が入ってるかと、思ってなんですが、テーマ別に、〔例えば ドライブ編、お休み編、頭をすっきりしたい時、おはよう編)自分の気分に合わせて曲が聞けるので、とってもききやすくてしかも、たくさん入ってるので、聞き飽きることもなくよかったです。