“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期 (ヴィレッジブックス)
とにかく、著者の精神の強さには驚かされます。
長年にわたり、ほとんど精神異常といえる母親に、人間とは思えないほどのひどい仕打ちを受け続けた。助けてくれると信じていた父親にすら見て見ぬふりをされる・・・。それでも必死に生き延びようとする子供。頼れるのは自分自身だけという絶望の世界。そしてその自分自身にも疲れ果てていく。もし私だったら、とうに人生を捨てて死んでいたに違いないです。
読んでいて私は3つの恐怖を感じました。
1つは、世の中にこんな残虐極まりない事が起きているという事実に対しての恐怖。
2つ目は、「もし自分だったら・・・」と想像した時の恐ろしさ。
3つ目は、生きている以上、自分もこの母親のように、異常な精神に支配される可能性はゼロではないという恐怖。
とにかく、3部作なので続編も読みたいと思います。いや、読まなくてはいけないという気持ちです。この「幼年期」には二度と読み返したくなくなるほどのショックを受けましたが、恐ろしい過去に立ち向かった著者の勇気を思えば、全て読むべきなのだ、と思いました。