ソード・フィッシュ 特別版 [DVD]
全くすごい映像です。冒頭の爆破シーン。このシーンだけで
DVDを買う価値がありますよ。ひとつのシーンを数十台の
カメラで囲んで同時に撮影したというカットは未体験の
ものすごさです。
そして、その後はジョン・トラボルタの切れた存在感を
楽~に楽しみましょう。アカデミー賞女優のハル・ベリーの
お宝映像も楽しみましょう。
そして、特典映像の『もうひとつ(実際は2つ!)のラスト
シーン』も非常に興味深いものとなっていますよ。
ソードフィッシュ [Blu-ray]
映画は2001年6月8日リリース。なかなか凝ったストーリーと最終シーンから始まる構成など随所に感心させられる作品だ。特に面白いのは最初にトラボルタが『狼たちの午後』や『ゴッドファーザー』などの映画を批評するシーンから始まるところで、その後の7キロのベアリング爆弾の爆破シーンの360度回転するようなカメラ割りは素晴らしい。これこそブルー・レイにピッタリである。
主演のヒュー・ジャックマンはこの1年前の『X-MEN』のウルヴァリン役で一躍スターダムへと駆け上がったが本作でもなかなか頑張っている。その後も2006年の『タロット・カード殺人事件』あたりの演技もなかなかで、アカデミー賞の選考委員には受けなそうだが、充分に観客を呼べる実力を持っていると思う。
余談だが、最初に殺られる北欧からやって来たハッカーがトーバルズで、主演のヒュー・ジャックマンの演じている天才ハッカーがスタンリー・ジョブソンっていうのは何となくリーナス・トーバルズ(Linuxの開発者)とスティーヴ・ジョブズをもじっているような気がするのはぼくだけかな?
クイーン [DVD]
農園の子(白人の農場主と黒人の女奴隷との間に出来た子供)とアフリカ系アメリカ人のハル・ベリーの出自がリンクするような、見ごたえのあるTVドラマ。
まさか、ハル・ベリーはこれほどの苦労は味合わなかったろうが、今のハリウッドだってアフリカ系とかアジア系の俳優に対しての差別は皆無ではないと思う。
このドラマに出演した若きハル・ベリーの勇気に拍手を送りたい。
南部アメリカの農場主の白人男性と機織小屋の黒人奴隷の間に生まれた『クイーン』が、南北戦争の後、奴隷解放された後もさまざまな偏見、差別と対峙しながら生きて行く。
南北戦争後、衰退する屋敷を飛び出して北部を目指すのだが、黒人への差別は根強く、さまざまな障害にぶち当たる。
肌の色の比較的白いクイーンは白人になりすますと、白人男性からプロポーズされるのだが、自分が黒人であると告げると相手の態度が豹変、レイプされて純潔を奪われてしまう。
路頭に迷って黒人たちの集落にたどり着くと、『白人!!』と虐げられる。
生活に窮したクイーンは、敬虔なクリスチャンの年老いたオールドミスの姉妹の家でメイドとして働き始めるが、父無し子を産むと、堕落した売女とののしられ、魂の救済と称して、オールドミスたちから赤ん坊を奪われそうになり、そこを飛び出す。
次ぎに、別の白人の家で乳母として働くのであるが、そこの主人はKKKの白人至上主義者であり、街で偶然再会したクイーンの赤ん坊の父が黒人たちの指導者であったために、KKKに吊るし首にされたうえにオイルで火をつけられて惨殺されてしまう。
絶望の淵に震えながらも、北部を目指すクイーンは、ミシシッピ川の渡し舟の船長の計らいで、第三の屋敷にメイドとして出る。
そこの主人は『奴隷を持った奴隷制度反対論者』であり、白人としては珍しく黒人蔑視のない優しい人柄であった。
そこでも、クイーンは謂れなき黒人差別に敢然とした態度を貫き、周囲と摩擦を起こしてトラブルメーカー扱いされるのであるが、心優しい主人に諭され、縁あって渡し舟の船長と結婚(船長は再婚)、やっと自分の『愛される場所』家庭を持つに至る。
幸福な奴隷小屋での少女時代と母、祖父の死、南北戦争と敗戦、農園の没落と奴隷解放、それに伴う生活不安。
90分の3話構成だが見ごたえのある骨太のドラマとなっている。アレックス・ヘイリー氏の母方の家系の物語だそうだが、凄まじいまでの黒人差別に心が熱くなる。南部の綿花の農場では、黒人はまるで家畜のような扱いであり、気に入らなければ鞭打ち、文字を覚えることも違法なのである。
女の黒人奴隷は農場主の格好の性の捌け口として描かれているが、こういうことは普通に行われていた悪習だったのだろう。女房連中も主人のそんな行為を黙認する描写がある。
クイーンの母と農場主との間には心の交流があり、深い愛情で結ばれているように描かれているので観ているものは多幸感に包まれるのであるが。