ICO(イコ)
よけいなところにばかり気を遣った最近のゲームに渇を入れたこのゲーム。
ディレクターの本職はCGデザイナーでこの作品は処女作に当たるわけだがこれは若手にしか作れないゲームだと言える。
難しいことは何もない。画面からはゲージが消え、HPやMPに振り回されることはない。
自分はただもてるだけの知恵を振り絞り古城の仕掛けを解いていく。ただ自分が古城から脱出するのではなく、運動能力のない少女と一緒に脱出するところにこのゲームのおもしろさがある。
自分が仕掛けを解いている間に少女の身に危険が迫ることもある。プレイヤーは謎を解きつつも少女の身を守らなければならない極上のスリルを味わうことが出来る。
そして本職がCGデザイナーなのでグラフィックがスゴイ。誤解して欲しくないのは決して作り込んであるという意味じゃない。
アニメとリアルを見事に融合させた魅力的な自然や造形物がPS2の演算能力でとてつもなく広大に描かれている。誰もがおそらく一度は立ち止まって周りの風景を見たはずだ。右スティックでカメラを自由に動かせるのはかなり評価できる。この広さは他のゲームでは見たことがない。
BGMは小鳥のさえずりや流れ落ちる水などだけ。クラシカルな音楽は一切ない。台詞もほとんどない。シナリオもほとんどない。
まさに単なる「ゲーム」であると言える作品。
ICO~霧の中の旋律~
CMを見て、懐かしいようなどこか物悲しいような気分になった。映像のイメージだけでなく、それが音であると気づいた時にこのCDを手に取らざるを得なかった。普段、ゲームをあまりしない人間なので、ICOというゲームを全く
プレイしていないのだが、そういったバックボーンなど関係なく聴ける。作曲者である大島ミチルさんの作品は、他にも何曲か聴いたことがあるがこれは特別心に染み入る。これほど心惹かれる曲は近年聴いたことがない。
ゲームに馴染みの無い人にも強く勧めたいと思う一枚。
ICO/ワンダと巨像 Limited Box (特製ブックレット、プロダクトコード同梱)
ICO、ワンダ共PS2版購入、プレイ済みです。今回どれくらい違うか楽しみにしてました。
PS3初期型にPS2版ICOを、薄型に今回のHD版ICOを入れて起動。接続はいずれもHDMI
ケーブルで、同じ液晶TVに繋げて見比べてみました。まさかこうも違うとは。
PS2版は画面のざらつきが強く、じゃりじゃりとした落ち着かない印象。それでいて全体に
ぼんやりとした画質で、キャラクターを動かすとそれが更に顕著に表れ、やはり今見ると
かなり厳しい。
発売時同様ブラウン管で見たらまた違うかもしれませんが、現状こういう感想になります。
HD版は美麗の一言、画面全体がビシッと引き締まり、くっきりはっきりそれでいて炎から
立ち上る煙や、ぼんやりと照らし出される石造りの壁等、シャープな画質でありながら
淡い描写も秀逸で素晴らしい空気感を表現しています。さらに16:9のワイド画面の恩恵は
大きく、左右ぶった切りになってしまうPS2版にはもう戻れないでしょう。
画質に関しては期待して大丈夫です。
以下ゲームのレビュー。
ICO。このゲーム、驚くほどプレイヤーに与えられる情報が少ないです。マップも無ければ
HPゲージも無い、果ては少女の言葉が分かりません。セーブポイントは椅子。座って眠ります。
既成作品で体験してきた視覚的ゲーム要素が極力削ぎ落とされているかのようなつくり。
おいおい何だこれ?と最初思うかも。しかしプレイしているうちにどんどん主人公に
感情移入している自分に気づきます。
素性どころか何を喋っても通じない、けれど自分の助けを必要としている少女と手を繋ぎ、
呼びかけ、襲い来る影から護るうちに言いようの無い感覚を呼びます。それは影の襲撃への
不安であり、少女を残して仕掛けを解除に向かう際に感じる焦燥であったり、いそいそと
戻って手を繋ぎ直した時の安堵だったり。なんだか少年の頃に戻ったような気持ちに
なってしまいました(笑)。とにかく誰も饒舌にストーリーを語らない、なのに自然と
プレイヤーの心の内に物語は刻み込まれていく不思議な一本。
アクションと謎解きがメインになりますがそこそこの難易度です。不条理な展開に挫折する、
と言うわけでは無いですがある程度のリトライは必須。頑張りましょう、この世界観と
二人に感情移入できた方なら最後まで行かないのは絶対に勿体無いです。壮大な演出や
スケールの大きな物語を望む方にはオススメしかねます。全体に地味ではありますから。
人は選ぶもののはまる人は大好きになると思います。
ワンダと巨像。基本的にやることは愛馬に跨りシームレスに広がる荒野を駆け巡り、巨像を
見つけ出し破壊する。体力ゲージ、握力ゲージの増強アイテムの探索など、一応小さな
要素もありますが根っこはそれだけです。
巨像との戦いに挑むにあたって、まず攻略サイトを覗かない事をオススメします。
歩けば地響きがし、近くを走るだけでその震動ですっ転んでしまう巨像との戦いには、
必ず周囲の状況や巨像の動きの中に攻略のヒントがあります。そのヒントから閃きを得た
瞬間の興奮、そして理解しても実行に困難を伴う戦いの末、巨像を倒した時の達成感。
これはなかなか得がたいものです。それだけにこのゲームの初回プレイは大事にして
欲しい気がします。オチの分かった映画で2度目も同じ興奮を得るのは難しいので。
2作品とも万人にオススメできる感じではありませんが、ハマる人は本当にハマると思います。
このHD版が初プレイの人が正直羨ましい・・特にワンダ。出来ることならプレイした記憶を
消去して、このグラフィックと音でもう一度クリアしたいなぁ、なんて思ってしまった次第。
ICO-霧の城-(上) (講談社文庫)
読みやすいです。
主人公が「英雄の書」よりは大人なので、思考回路がまだ私にもわかりやすい。
そして、今私たちが生きているこの現代とは、全然違う世界の「お話」、
まさにファンタジーなので、余計なことを考えずお話世界に入れます。
いろいろな伏線が貼られていますが、どーしても続きが読みたい!!!と思うほどには
心惹かれなかったので星3つ。