うらおもて人生録 (新潮文庫)
少しでも幸せに生きたい、自分の人生を充実させたいと願わない人はいないでしょう。本書はその為に必要な方法論が実に精緻に、分かりやすく記されています。
色川武大といえば十代にして博打の世界でトップに登りつめ、その激しすぎる戦場で生き残り、作家となってからも戦後屈指の大衆文学の傑作と言われている『麻雀放浪記』をはじめ数々の名作を生み出した天才です。
如何にしてこのような人間離れした人生が可能となったのか、本書にはその秘密が記されているのです。このような本が世に出ていた事は大きな驚きです。私が本書に出会えた事は大きな幸運でした。
明日泣く【DVD】
斎藤工、汐見ゆかりの二人の演技で、最後まで一気に魅せる。
原作者が同じの「麻雀放浪記」もいい映画ですが、これも雰囲気のある作品に仕上がっています。和田誠の絵がちらっと写ったのは、オマージュだろうか。
武藤昭平も味がありますが、少し固い。演奏シーンは、じっくり鑑賞できます。
監督のファンになりました。
本編は短いが、特典は充実してました。
麻雀放浪記 [DVD]
和田誠の監督デビュー作だが、彼の膨大な映画的体験からすればSF大作でもアクションでも平均点以上のレベルの作品が作れそうだが、このような小品をセレクトしたのは好感が持てる。思えばクリント・イーストウッドやロバート・レッドフォードの監督第一作が地味な作品であったし、派手な仕掛けのない分、ある意味で本当の実力の見せ所である。驚くようなカメラワークや自己満足的な変則的アングルなどはなく、手堅い演出で観客に過剰なテクニックを意識させないのがよい。(和田誠ならば、やろうと思えばいくらでも凝った演出ができるのに)
キャストもゲスト出演や友情出演による大スターの動員はせず、若い真田広之と大竹しのぶを中心に、高品格、鹿賀丈史、加賀まり子、名古屋章、加藤健一など手堅い共演陣で、この脇のキャラクターの描き方が秀逸で、期待に応えた俳優たちの演技も見事だった。
いねむり先生
この度の大震災で、作者も仙台にて被災されたと聞く。お見舞いを申し上げるとともに、こんな時だからこそこういった良質の文学書こそ「心の復興」を手助けしてくれると強く信じる。
ギャンブラー=無頼派、というわけではないのだろうが、世間的には「ギャンブルの神様」とその遺志を継ぐ作者との淡白なようだが、密度の濃い交わりを書く好著。とくにギャンブルに造詣が深くなくとも十分に楽しめるだろう。
作者もかなり若い頃という設定なので、あまり小説的な技巧に走らず、師匠と共有できたあたたかな時間を淡々と綴っている。先生にとってはたいへんな病気には違いないのだが、麻雀の途中でも眠ってしまう「ナルコレプシー」や富士山を見ただけで失神してしまう「先端恐怖症」など、失礼ながらはたから見ている分には、どこかユーモラスだし、二人で遠くの競輪場まで遠征する「旅打ち」は、まさに羨ましい限り。
大切な妻を亡くした喪失感を徐々に埋めてくれる先生の「大人(たいじん)」感が読者にも伝わり、読んだ後も自然に暖かい気持ちが包んでくれる。