くずばこに箒星 (集英社スーパーダッシュ文庫)
とても読み応えがある物語。
単純な物語では物足りなさを覚えてしまう欲張りな人も、
しっかり満足できると思います。
学園モノの友情や恋愛・謎解き・アクション・家族愛と
様々な側面から味わえるので、二度読んでも飽きません。
(普段自分は、一度読んだ小説を二度読むことはほとんど無いのですが)
また、会話文のテンポが良くて面白いだけでなく、
それ以外の文まで面白いから、
読みながら笑ってしまうのを我慢するのが大変かも?
電車内で読む場合は、ニヤニヤに注意!ですね。
主人公は、一見完璧で隙が無いように見えるけれど、
そんなことはありません。
読み進めるにつれて彼の抱えるコンプレックスや
弱さや孤独が垣間見えることで、親近感がわいてきます。
だからこそ、そんな彼が必死になる終盤のシーンが、
まぶしいくらいにかっこいい。
苦手なことがあって悩んだ経験のある人ならみんな、
彼の名セリフには惚れると思います!
ただ完璧なだけのヒーローよりも、私はずっと好きです。
主人公を含め、登場人物はそれぞれ
自分の逃げてきたことと向き合って、
物語が終わる頃には皆ひとまわり成長しています。
その姿には励まされました。
読後感は、爽快かつあたたかいものです。
思わず応援したくなる愛すべきおそうじ部員たちに、
また会いたくなりました。
ほうき星 上 (角川文庫)
ペリーが浦賀へ来た時代のさちという娘さんのお話ですが、久し振りに読み応えがありました。
娘さんは縁あって、高名な師に絵の手ほどきを受け、高弟の一人に数えられるまでになった時に師が亡くなります。 それで今後の生き方を決めるために土佐へ旅立ちます。 幸運をもたらす娘だと土佐の人々に大切にされますが、娘さんは自分の先行きに迷っていて生まれ故郷の江戸の大地震に大いに心を痛めます。 江戸へ辿り着いた結果は本を読んでのお楽しみとしまして、近来に無い充実感を覚えました。
それと東日本大震災に重ね合わさるような救援物資の搬送や炊き出しの情景に心を動かされました。
箒星 (通常盤)
トヨタCMでのサビを聞くかぎりあまり期待してなかったんですが・・今作は詞がよいのです!
希望を導き出してくれる詞です。安易にではなく、きちんとした内省があってのものだと思います。しかも暗く重くならないどころか、明るい気持ちをもたらしてくれます。サウンドの効果も大きいみたいです。
《心配ごとばっかり見つけないで慌てないで探してこう》
物事が簡単には行かないことがわかっていても、それでも頑張ってみようという気にさせてくれます!
ミスチルのよさは人それぞれ感じ方も違うでしょうが、僕は今作はお気に入りです(*^_^*)シフクノオトの路線に戻った気がする!
くずばこに箒星 2 (くずばこに箒星シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
サプライズいっぱいのシリーズ二巻。
個人的に初読みのドキドキ感を味わって欲しいなと思うので、
このレビューではストーリーには触れませんが、
一つだけ言えるのは、一巻が好きな人ならまず入り込めるということ。
ころころ転がるように進んでいく物語で、
勢いがあって面白いのは変わっていません。
一巻同様、複数の物語が一つにつながるところは気持ち良いです。
新キャラのミュウですが、言動が可愛くて、でも時折切なくて、
目が離せない魅力的な女の子でした。
彼女は、あのおそうじ部のメンバーに囲まれても、
ちっとも埋もれないほどの個性を放っています。
でも、同時にまだ『傷痕』になりきれない
『傷口』の状態の痛みを心に抱えています。
それがわかると、彼女の突拍子もない言動を納得してしまうし、
メンバー達が彼女を放っておけないのも頷けました。
また、登場人物は、基本的なキャラクター設定の範囲内で、
ただ記号的な反応を繰り返すわけではありません。
経験を経て成長・変化していくんです。
実際、人ってそういうものですよね。
その点がリアルだし、共感できました。
工藤くん&宇都宮くんにも注目して欲しいです。
二人とも、とにかくすごくかっこいいので!!!
そして、今回もやっぱり名セリフが。
特に小花ちゃんの星空の下のシーンがいい。
彼女の内側の強さの秘密がわかったような気がします。
あと、P.202の5行目の彼女のセリフも必見ですね。
こっちは可愛すぎる一言という意味で、ぜひ!
本文中では、人のちからを信じていなければ、
こうは書けないのではないかと思えるような場面を
いくつも見つけることができました。
生きていれば忘れたい嫌なこともいっぱいあるけど、
それも他の誰でもない自分自身の人生を生きている証。
本を閉じた後に、私を待っている現実で頑張るためのエールをもらった気がします。