三文ゴシップ
いろんなジャンルの方との協演がすばらしい!数時間でいろんなところに旅したような充足感。ワールドワイド!
「流行」。“さようなら名プロデューサー”“女の…私に個性は要らない”ガツンときました。
「旬」。平成の美空ひばりです。こんなに歌えるようになったんですか、林檎さん。感動です。シンプルなピアノが沁みわたる。まさに“活きて”います。一言一言かみしめるように聴きました。「ありあまる富」に通ずるものがあってあたたかった。
ちょうど真ん中あたりにこの曲が据えられているのも納得。
音楽は生きてる人間の感情の生々しさで出来たもののほうが近づきやすい、本来は。
だが、現代はそういうものよりも軽く扱いやすくて口ずさみやすくて美しいものが好まれる。でも、私には林檎さんが醸し出す、深くて抜け出せないどうしようもない日常的な現実がとても魅力的だ。その中にもきっと喜びや楽しさはあって、それを見つけ出しながら生きていくのは醍醐味だ。彼女は日常を描くとともにさらにその上の表現を見つけようとしている。
そして才能があるとか天才だとか、そういう世間の目を客観的にみて自分は「凡才肌」です。と主張する。確かに才能がある。だけど、彼女の曲は彼女の周りでごく普通に毎日起こっている日常のせつなさ、たのしさ、苦しみ、よろこびで作られる。私たちも経験する極めてどこにでもあるいろいろな感情を卓越した表現力で豪華絢爛にすばらしい表現者の方々と協力して見せてくれている。
初期では、生死で揺らぎ、確かに存在する“今この時この瞬間、現在”をひたすら求めて、とてつもない得体のしれないパワーを発揮していた。近年は表現者として伸び悩み続けているように私の目には映っていたが、ここにきて、再びです。
今のすべてを見せてくれています。“労働”“成長”“食べよう”“夢”“生きて”など、歌詞には今を生きるという意志が随所に見える。昔と同じで今を求めてはいるが、昔より心に余裕があり上質で人間的で温かい“現在”。
いろんな人と関わりそのなかで虚しくなることもあるけど、それでも受け入れながら生きていく。その先に何があるか分からないけど、一度しかない今を積み重ねて生きていこうと言ってくれているんだと思います。
1曲1曲丁寧に細部にこだわりまくっていて、音楽への愛情や簡単には消費させないぞというプライドも感じます。
自分は自分の色で自由に日常に色をつけていけばいいと言ってくれているようです。
ここまで音楽に真摯に取り組んでいただける音楽家がいることは聴き手にとってはとてもありがたいです。林檎さん自身の輝きが生んでいる音楽だとつくづく思います。
人間いつでも清く正しく生きることはできないけれど、そういうふうに生きたいなと思えるアルバムでした。
高校生の頃、わくわくしながら「ギブス」を買いに行った時のことを思い出しました。
とにかく楽しかった。うきうきした。何回でも言いたい。すばらしいです。
“ドならドルチェのドです”っておしゃれすぎ(「二人ぼっちの時間」)。
LOVE STORIES III(CCCD)
特に聴きたいのは、ブレッドの「イフ」。番組とマッチした美しいメロディは最高です。TVドラマを知らない若い人にもおすすめです。
現在、この曲を手に入れようと思っても、ほとんど不可能なので、こうしたアルバムはうれしいです。
都合のいい女・ほんとにほんとに御苦労さん
某テレビ局で深夜、この曲のPVが流れていて、
辛辣な歌詞に胸を打たれてしまいました。
ここまで”現実”を歌詞にした曲って、なかった気がします。
演歌でも、もっともっとオブラートに包んであったり、
”お涙ちょうだい”的な歌詞だったりするのに、
ロックで、
こんな辛辣な歌詞をノリノリで歌ってしまう犬神サーカス団って、
いったい何者よ?
この曲に魅せられてベストも買っちゃったけど、
やっぱ…この曲が一番でした。