許されざる者 [Blu-ray]
近年のイーストウッドの映画は素晴らしい。
それは周知の事実となったが
それは一本一本の映画の価値以上に
イーストウッド自身の演じた自分に辻褄を合わそうとしているところにあると思う。
そして今日見直したこの映画あたりからそれははじまっていたのだと確信した。
西部劇から名を挙げたイーストウッドは撃つ事で人が死ぬ重みを描かずにはおれなかったのであろう。
これこそ作家というものであろう。
エンターテイメントも失わずに自戒も描いたいい映画です。
画質もよくなっているようでした。
Vシネ血風録
表紙は三池崇史作品「許されざる者」であるが、この本は決してVシネ作品ばかりを取り上げているわけではなく、一般公開された邦画(「はつ恋」、「ユリイカ」、「わたしのグランパ」等、快挙に暇なし)もリストアップされている。そして、単に評論集では終わらない。
なぜ、Vシネマだけを取り上げなかったのか。それはやはり、作者が明確に「映画評論家」だからであろう。文中にもあるが、今時の評論家さんでさえ試写室で、見たいものしか見ようとしない。現状に、作者の不満が伺えるのである。そして闘病・・・。作者自身も過去に胃がんを患っていたのだ。決して、安住した立場から映画を見下ろしているわけではない、そんな場合ではないぞと。そして、既存のVシネマ関係者もまた、作者同様に決して五体満足な状況で映画作りに勤しんでいるわけではない。作者の映画愛が伝わってくる文章は、読み応えがある。
だからといって、決して暗い内容で終わってはいない。読了後、不思議な、突き抜けたような明るさがある。そのへんは、ヤクザやエロの多いVシネマでも同じことだ。
長いことVシネマから遠ざかっていた私ですが、久しぶりにVシネマを観はじめました。
Vシネマは、映画は奥の深い人間世界。一読の価値ありです。
許されざる者 特別版 スペシャル・エディション [DVD]
すべてを観終わっての感想は、「さすが、クリント・イーストウッド」という感じがした。初めから最後までずっと渋い演技が光り、ストーリも何かを世間に訴えるかのような作りである。
この映画が作られたのは1992年なので、クリントも50歳程度であるまだまだ元気十分のはずだったが、映画の中では死にそうな初老の演技をところどころに散りばめている所がなんとも憎い。
かつては列車強盗や冷酷な殺人で悪名を馳せていたウィリアム・マニーことクリント・イーストウッドに始まり、悪徳?正義?(どちらとも言える)の保安官ことジーン・ハックマン、マニーの昔からの相棒こと、モーガン・フリーマン等、今となっては全員アカデミー賞受賞している超豪華メンバー俳優人のそれぞれ光る演技がすばらしい!そのため、アカデミー賞では、作品賞・監督賞・助演男優賞・編集賞の4部門を独占したのも納得できる作品です。
クリントファンならぜひとも、別にファンでは無い人でも観る価値はあるかと思います。
許されざる者 [DVD]
「最後の西部劇」と銘打たれてはいるものの、そこはイーストウッド作品、単純な勧善懲悪ヒーロー物語になっていないところがミソだと思う。登場人物全員が意図せずも少しづつ最後のカタストロフの原因を担っており、そういう意味では「許されざる者」なのは全ての人々なのだ。
最近のイーストウッド作品だと、殺戮者に戻った老ガンマンも無事では済まないはずなのだが、本作品では復讐を果たして生きて故郷に帰る。ちょっとシンプル過ぎる嫌いもあるが、それはこの映画がマカロニ・ウエスタンに捧げられたからだろう。