あしたも着物日和 (徳間文庫)
「きもの」にハマって3年近く。色々な方の「きもの本」を購入しましたが、この本が一番、自分の経験にピッタリ来ました。第2話の「知識の詰め込み時代」なんて、私そのもの…(^^ゞ
水鏡綺譚
戦国時代であろうか。
狼にひろわれ、行者に育てられたワタルは「立派な人間になりたい」と思い旅をしていた。ある時、さらわれた娘、鏡子(かがみこ)を夜盗の手から救う。鏡子は生まれた時に持っていた鏡を失ったため過去の記憶がない。ワタルと鏡子、ふたりの旅は鏡子の家探しの旅。その途中、さまざまな事件に出会う。
鏡子はワタルのことを「自分のことを救ってくれる人」と直感し、ワタルから離れない。ワタルは修行の旅に女は妨げ、と考えたが、純真な鏡子をじょじょに好きになる。
第七話「白比丘尼」。途中、何度も生まれ変わり、何千年を生きる白比丘尼にふたりは出会う。白比丘尼は「この娘が知恵を持った時、おまえたちは別れ別れになるであろう」と予言する。
結末部分が12年間書かれなかった未完の名作だが、今回著者が加筆しワタルと鏡子の最後が語られる。
あとがきで著者はこの話を「得るものと失うものの物語」と書いている。各話の登場人物それぞれに得るものと失うものがある。ワタルもまた望みである立派な人間にはなれていないし、鏡子も鏡(過去の記憶)を失った状態。失ったものを得た時にふたりはどうなるのか?
決して上手とはいえない素朴なタッチの絵が、人生を一気に縮図化し、自分自身をも振り返らせてくれる。私は億単位のお金を持ちになりたい。けれども、それが実現した後はどうなるか?そんなことは実現していない人にはわからない話なのだ。
見晴らしガ丘にて完全版
東京郊外でつつましやかにたくましく暮らす人々の
つつましやかでたくましき日常。
近藤さんの漫画に出てくる男性は女性を窮屈な殻に閉じ込め、
退屈にさせるものとして一種の記号のように描かれることが多いが、
ここでは愛すべきヘタレ小僧というか、なんだか皆可愛いんです。
サラサラ読めて、最後はキュンっと甘苦い珠玉の11篇。
ゆうやけ公園
ほーむれすさんに、ここの漫画の登場人物のように、気安く話し、できないでしょ・・。
でも、できちゃう。漫画だから。
しかも、あったかい、あったかい、漫画だから・・。
いい世界です。その一言です。ぜひ読んで、あったかくなってください。