文藝春秋 2012年 02月号 [雑誌]
ジャーナリスト児玉博が書いたものであり、東京電力福島第一原子力発電所前所長、吉田昌郎のことである。
吉田所長は昨年12月1日付けで病気療養のため退任、自ら食道がんであることを明らかにし東京都内の病院
で入院生活を送ってる。
やはり気になるのは無念を残してきた福島第一原発のことであり復旧作業を今も続けている作業員らのことで
未曾有の大事故以来、吉田は作業現場のことを考えたらこれでも贅沢だといって当直職員が利用する小部屋で
寝起きし、危険と隣合わせの作業が続いてる現状に、何度も本店に「危険手当を出してやってくれ」と要請し
ている。また誰に対しても平等で現場を大切に現場を守る作業員をたちを大切にしてる吉田所長の姿が浮かび
上がってくる。
原子力施設内部の状況が把握しきれてない、汚染水漏れなど実際になかで何が起きているのかまだわかってない
状況での12月16日、首相官邸での事故収束宣言、最前線で復旧作業にあたってる作業員を気遣い、一日も
早い復旧を願い、現場の声を本店に要望し板ばさみにもがき苦しんできた吉田所長はもういない。
そして吉田所長がことあるごとに部下たちに言い続けてた言葉があります。「福島の人たちが俺たちを見てん
だぞ。この土地をきれいにして福島の人たちに返さないといけないんだぞ、俺たちは」
熱い、重い言葉です。
純愛カウンセリング
昨夏奇跡の(?)復活をしたミュージシャン岡村靖幸の初単行本。名越康文や田原総一郎など旬の各界著名人と岡村ちゃんとの対談による「純愛探求本」・・・のはずであるが「純愛」のあり方については当然ながら結論は出ていない。むしろタイトルにある「カウンセリング」こそがこの本の主題で、聞いて/聞かれて岡村ちゃんと対談相手の相互が自分の恋愛の傾向や悪癖に気づいたり/気づかれされたりする様が克明に記録されている。「タレント本」として取り扱われるのはもったいなさ過ぎる充実の内容。岡村ちゃんがどういう特異性のあるミュージシャンかを知らずとも楽しめるハズ、知っていればBGMにして尚楽しい♪
Me-imi TOUR 2004 [DVD]
NKホールといえば、92年「ファンシーゲリラ」と同じホールです。それを思うと感慨深いですね。
前年の「フレッシュボーイ」より格段に声が出ており、ダンスの切れもばっちり。アレンジも凝っています。
たいていのアーティストのツアーは最新アルバムの楽曲中心に編成されますが
この人は最近の楽曲も昔の楽曲も差別せず(?)今の音にしてしまうのが凄い。『19』なんてまさかの選曲でしょう。
『ステップアップ』間奏で手足をブンブンする振り付けは「ファン・ゲリ」の時と同じで思わずニヤリ。
岡村ちゃんにあの大きな胸をひろげて「君がだいすき」って歌われたら・・・もう必殺ですよ。
特典映像の居酒屋モードな岡村ちゃんもすてき(短いけど)。
エチケット(ピンクジャケット)
リアルタイムで大ファンだったが、次第に寡作になった上に何度も逮捕・収監されていた彼の音楽を、僕はここ数年聴かないでいた。
2000年代からは作風も荒れてきたような気がしたし、死ぬほど聴きまくった彼の20年も前の曲をいま聴くのも、後ろ向き過ぎる気がしたからだ。
そして実に久しぶりにリリースされた彼の新作。
聴いてみて、自分が彼に魅かれ続けていた理由にあらためて気付いた。
彼は当時から、ただ生きていることに、苦しみ抜いていたのではないか。過激だったり青臭かったりする彼の言葉や音や声には、刺激や波乱なしではやってられなかったと思われる、彼の生まれながらの苦悩が直球で叩き付けられていた。
若く今よりもっと苦悩に満ちていた自分と、当時の彼の作品が(生意気な言い方だが)シンクロしていた。
この人はまだまだ生きたいんだろう。
僕はこの作品を聴いて、新たな強い気持ちを持つことができた。
どんなに辛く悲しくとも、消したいけど消せない過去や気持ちがあっても、
生き続けなくてはならない。
彼と、聴き手がいる限り。
ポップ・ザ・初音ミク☆ <CD付き>(TJMOOK) (TJ MOOK)
表紙の可愛さとは裏腹にかなり尖った内容となってます。
かといってボカロ初心者に敷居が高い訳ではありません。
最近ボーカロイドを知った人の為にボカロキャラクターの紹介から始まります。
聞き覚えのある6曲をカバーしたCDもついてくるので、
人間が歌う場合との聴き比べができるかも。
もちろんニコ動でおなじみのボカロ曲が8曲も収録済み。
ちょっとお高いかな?という気がしないでもないですが、
普通14曲収録されたアルバムを買うと倍以上のお値段がするので
お買い得なんではないでしょうか。
本の後半でニコ動で話題となった曲がわかりやすく紹介されていますので、
ここから作品を辿って聴いてみるのもいいかもしれません。
ボカロフリークの方には、小室哲哉氏とボカロ曲の作り手達の対談や、
その他たくさんの方たちとの深い話も収録してありますので、
良い意味で裏切ってくれる一冊に仕上がっています。
編集に携わった鮎川さんは週刊アスキーPULSで
コラムも始められたようです。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/054/54941/