バッハ:ゴルトベルク変奏曲
ゴルトベルク変奏曲の弦楽合奏版の編曲も行ったシトコヴェツキーの弦楽三重奏版の編曲を用いた演奏。ミッシャ・マイスキーにとっては二度目の録音。
その旧盤との違いは、演奏者の顔触れもさることながら、演奏時間の長さ。本作では80分を超す。それでいて弛緩した箇所は全くなく、緊張感が途切れることがない。集中力が途切れsさせることなく3人が持てる技量をぶつけ合っている。
そうでありながら、三人が各々バッハの原曲の旋律線を際立たせるだけでなく、アンサンブルとしても完璧。まるで三人の散らす火花が一つの炎と化すかのようだ。旧盤、そして弦楽合奏版よりも、この曲の美しさ、精神的な奥行きの深さを感じさせる。弦楽三重奏それ自体としてもちょっと本作に比肩する作品は思いつかない。
2006年の録音スタジオには創造の霊感が降り立ったに違いない。それほどの傑作だ。
ヴィヴァルディ:協奏曲集
通常この曲は弦楽オーケストラで演奏されますが、この演奏では1人1パートで構成されています。
構成は、ソロ,1stバイオリン,2ndバイオリン,ビオラ,チェロ,コントラバス,テオルボ,オルガン&ハープシコードの8人編成です。
1人1パートの構成で録音されたこの演奏は、音量変化などダイナミクスに対して柔軟であり、即興性があります。そしてアンサンブルにとても透明感があり、非常に美しい演奏になっています。
四季以外の曲が入っていないのが惜しいですが、綺麗系の古楽解釈が好きな人なら一聴の価値ありだと思います。