ロマンス・オブ・ザ・ヴァイオリン
クラシックの名曲に出会いなおしてその美しさを再発見する豪華プログラム。マスネ「タイス」のエレジーは瞑想曲に匹敵する名曲でこのアルバムでの大きな発見だった。
今回のアレンジはどれも新鮮だが、原曲の香りを大切にしている。「戦場のピアニスト」で知られるショパンのノクターン20番はまるで最初からヴァイオリンのために書かれたような気がするほど、目まぐるしく移り変わる明暗を表現しつくしている。
ベルの演奏は端正だ。切なく弦をいっぱいに鳴らすときも、高らかに歌い上げるときも、いつもいつも。美人はどんな表情をしていても美人である、それがベルの演奏だと思う。どれも有名な曲ばかりだが高音部の響きとフレーズの仕舞い方一つで、ベルの演奏だと分かる個性のきらめきがある。
イマージュ アムール
4年近く前に発売されたアルバムですが私はシリーズの中で一番好きです。
タイトル通り、「愛」をテーマに選曲されていると感じます。ニューシネマパラダイスの「愛のテーマ」「冷静と情熱のあいだ」「ウエストサイドストーリー」など、優しくしっとりしているけど明るさもあって、愛することの幸せを伝えてくれるような素敵なアルバムです。寒い季節になると、毎年聴きたくなります。
クローサー
本作品は、2003年に発売されたJosh Groban(ジョシュ・グローバン)の2ndアルバムである。類稀なる才能と数々の幸運を逃さなかった神の子が、満を持して発表した作品である。
Josh Grobanといえば、スーパーボウルで熱唱し、数多くの歌手が歌っている“You Raise Me Up”(12曲目)のイメージが強い。しかし、本作品を視聴することで、Joshがバラードだけではなくオペラ調の曲にも合うことがわかり、幅広いジャンルに適応できる能力を有することが理解できるだろう。
個人的には、2曲目の“My Confession”と、7曲目の“All Improvviso Amore”が気に入った。12曲目の“You Raise Me Up”も素晴らしい曲だが、曲の世界観という点においては2曲目と7曲目のほうが広く、是非とも聴いてほしい曲である。
本作品は、仕事から疲れて帰宅した時に聴くのが最適だと考える。透き通るかの如く透明感あふれるJoshの声と、下手な小細工を使わずに正攻法で編集している作品に、癒しと共に明日への活力が湧くだろう。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
米系のヴァイオリニスト、ジョシュア・ベルと
同じく米系の指揮者、MTTこと
マイケル・ティルソン=トーマスとの一枚。
オーケストラもベルリン・フィルと豪華。
確かにスパイスは効いてないかもしれないが
ベルのストラディヴァリウスから聴こえるのは
癖の無い、流麗なチャイコフスキーである。
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」&タルティーニ:悪魔のトリル
収録曲はどちらもヴァイオリン奏者にとって定番とも言えるものだけに、絶対的な評価はしづらいのですが、甘く美しい音色から、曲に対するベルの真摯な思いがとてもよく伝わってきます。ところどころ自分流のエッセンスをいれてはいますが、全体としては変な外連味もなく素直な演奏だと思います。
今をときめくスターが今になってようやくこの定番を録音したということから、「満を持して」臨んだことがよくわかります。
聴いていると頭の中に情景が浮かぶようなロマンティックな演奏で、部屋に流しているだけで幸せな気分になれます。オススメです。