ふしぎ遊戯 (1) (小学館文庫)
いろんな意味で惜しい漫画ではある。
まずパッと見て絵の上手さに惹きつけられる。少女漫画にありがちな絵のクセがない。
だから男性でも読みやすいのが最大の長所。
しかし・・・・・「それ故」の欠点も。まずこの作品の世界観に絵が合っていない。
古代中国を模した戦争・盗賊が蔓延る悲惨な場面が絵の綺麗さで中和されてしまって、悲惨さがイマイチ伝わってこないのがいけない。さらに主人公の美朱が現代日本の人間なのがそれに拍車を掛ける。「古代中国を模した世界観」の中に現代日本に生まれ育った少女はそぐわない。変なギャグが随所に入ってくるのでぶち壊しになる。作者はこういう長編よりもコメディタッチの短編のほうが得意なのだろう。ただ、それをそのまま全く雰囲気の異なる作品に持ち込んできてはならない。ファンタジーの長編をコメディの短編と同じにやろうとしても無理でしょ。
美朱自身に戦闘力がないのもマイナス。「普通の中学生」だったとは言え、守られてぱっかりの印象を受ける。キャラの過去も浅い、もしくは単純なので話に深みがない。それともっと印象に残るようなセリフは出せないのだろうか?名作漫画は印象に残るセリフ回しというものがあると思うのだが、この漫画はセリフが全然残らないのだ。これは作者の国語力の問題か?
そして最大の欠点は一部でちゃんと話として完結しているはずなのに、余計な第二部が始まった(付け加えられた)こと。連載当時、一部が終わる頃にアニメ化が決まった。そうするとせっかくアニメ化される作品が本誌で連載されていないのはおかしいということなのか「取って付けたようにして」二部が始まった。作者の意図ではなく明らかに編集部の商業主義だろう。そういうのが露骨に見えてしまったのがバツ。
世界観や設定はいいと思う部分が多いだけに惜しいのだ。評価は甘めにしても「普通寄りの悪い」くらいに留まる。
完全版で再度読み直しました。
この漫画、このサイトでは異様に評価が高い。全漫画を「少女漫画」という枠で選別し直すと、吉田秋生先生の「BANANA FISH」に次いでなんと総合第2位である!(驚き)。男女の恋愛メインの展開で進む作品に限れば第1位だ。
評価の数も少女系の中では抜きん出てて多い。他の少女系漫画は評価の数が10個もあれば「多いほう」なのだが、この作品は50個近い数になる。勿論、アニメ化されている影響で多くの方に浸透しているという知名度の高さはあるだろうが、「セーラームーン」とか「花より男子」なんていう他の少女系漫画のメジャーどころをブッちぎっている評価人数の多さは、むしろ不思議な現象だと思う。(←この評価人数の多さが、総合順位を大きく引き上げた要因)
理由は何だ・・・・・?と考えたが、
第一は「男性読者の割合が、前述した他のメジャー系作品と比較して圧倒的に高いから」ではないかと思われる。そして、もっと言えば作品を通しての「絵柄の綺麗さ・見易さ」(他の少女系漫画にある絵のクセがない)、そしてRPGゲーム的な要素を絡めた設定・世界観が男性読者でも馴染みやすく、手に取り易くしていたことにあるのではないだろうか。男女のどちらかしかファンを獲得できないのと、男女の性別で読者を分けないのとでは「人気」に天と地くらいの差が出るであろうことは容易に想像できる。
そういう意味では「(商業的な)成功」をする下地が早くから整っていたとも言えるのだけれど、この作品は本当に定着している評価に見合った作品なんだろうか・・・・?。今回は特に「悪い点」を多く挙げて、検証してみたい。
まず、完全版の最終巻の巻末で作者である渡瀬先生自らが暴露されている。
曰く、「原作の続編をやってほしいという話がありますが、絶対にやりません。これ以上続けると話がムチャクチャになります。」
曰く、「第二部はアニメ化に合わせて続けさせられた。(編集部に)で、アニメが終わったら、原作も終わらせてと言われた。オーボー(横暴)・・・・。」
・・・・うすうすは多くの読者が(このサイト内においてもだ)感じていたように、「第二部」はやはり渡瀬先生の意思で始められたものでないことがハッキリした。(作者本人が認められているので間違いない。)どおりで不自然な訳だ。話として「第一部」でちゃんと完結しているというのに、なぜ話を続けるのかが不明だったのだが、その理由が明らかにされた。
その結果、作品は作者自身が認めているように作品自体の価値も
「矛盾による破綻の1歩か2歩手前の位置まで追い詰められた」ものになってしまった。
続いて「作中で美朱や唯がやたらと脱がされるシーンが多い」ことに付いてもコメントされている。
曰く、「最初はアッサリしたシーンだったが、担当からもっとサービスシーンを入れたほうがアンケートの順位が良くなると言われた。(なので、入れるようになった)」
・・・・これは「裏の意味」を深読みすれば「男性読者へのアピール」だったということになるな。
エロありでも別に悪いとは思わないが、この作品におけるエロは少女漫画にもかかわらず「女性読者のみを意識したエロ」ではなかった点が異色。普通に読んでいても違和感を感じる。確かに、この絵の綺麗さでやれば「効果」はさぞやあったことだろう。
しかし、ここでも「商業的な要素」が見え隠れしてしまうのはバツ・・・・だ。
さらに「美朱と鬼宿が毎回のようにラブラブを繰り広げている」点が鬱っとおしい。という点については
曰く、「アニメ化の時に2人の役をされている声優さんにも指摘されて呆れられていた。自身の中でも半ばギャグの位置付けになっていた・・・・」
・・・作者さんも開き直って描くしかなかったんですね。鬼宿だけに限らず、作中における美朱の「モテまくり」についても解せない。なぜ美朱ばかりがモテるのかの明確な理由付けがされていないので、なんか都合がいい展開としか思えなくなってしまうのだ。
さらに上記の他にも問題点は多々あります。
「人が殺されたり、盗みや殺戮が日常的に起こっているような世界観なのに、シリアスなシーンの合間に度々コメディの乗りでギャグが入ってくるので雰囲気がブチ壊しになる。」
渡瀬先生は関西の出身なんですね・・・。関西的な「お笑いのノリ」が下地にあったのか・・・・。しかし、作品は「親友と敵対したり」、「愛する人以外の男に犯されそうになったり」する世界観なのに、ギャグを入れると冷水を浴びせられたような気分になって興ざめする。ギャグシーンはオールカットすべきでしょう。
「1部のラストでの七星士たちのセリフ(「星になってでも見守っている」)と、それに合わせて流した美朱の涙は、彼等とはもう二度と出会えないからこそ意味があって感動的なのに、2部でアッサリまた会ってしまったのでは、上記のシーンの感動が全く意味のないものになってしまう。」
・・・・これは前述の編集部の商業主義の結果生まれた弊害ですね。2部の存在自体がとにかく無茶なんですよ。上記のシーン描いた時点では渡瀬先生も「第2部」は全く意識しておられませんから。
「青龍・朱雀共に七星士の過去が甘い。」
それぞれのキャラがツライ過去を背負っているらしいことは語られましたが、どうもアッサリしすぎている。もう1歩、いや2歩は踏み込んで描いて欲しかった点ですね。七星士同士のつながりという点においてもです。それをキチンとやっておけば、第2部無しで巻数18巻は楽に突破していたはずです。本来はそれがあるべき作品としての姿でしょう。
「七星士が死んでしまうのは安直すぎます。七人が揃わないと呼び出せないはずの神獣を、七人が生きて揃わなくても呼び出せると後付けしてしまったため、彼等の存在価値が大きく低下しました。」
しかも、生き返りは流石にしませんでしたが、残留思念とか言って死んでしまった七星士たちと美朱が再会してしまうし・・・・。だったら、敵の青龍側のほうだって復活してくるはずではないでしょうか?御都合主義過ぎます。
「キャラのセリフ回しにセンスが感じられない。」
作者の国語力の問題なのかもしれませんが、印象に残るセリフがなかなか出てこない。名作と呼ばれる作品にはいずれも名ゼリフという独特のセリフ回しというものがあるのですが・・・・この作品ではそれを探すほうが難しい。
以上の事から考えても、この作品のこのサイトの高評価は明らかに異常だと感じました。
画力・世界観・設定はいいものがあるだけに、それを作者が上手く料理することが出来なかったのが非常に惜しまれます。もっと上手く料理出来ていたら「とてもよい」〜「最高」くらいが普通に付けられる作品になっただけに残念。
「最高クラスの素材は用意したものの、調理方法に問題があって万人に美味いと言ってもらえるような料理が出来なかった」
というのが私の総評になります。
ふしぎ遊戯~玄武開伝 外伝~ 鏡の巫女
もともと原作が好き、フルボイスで声優さんも豪華…という理由で購入・プレイしました。
☆良かった点☆
・ キャラと声が合っていて、ゲームに入り込み易かったです。
・ 攻略はさほど難しくもなく、さくさく進められます。スキップ機能大活躍です。
・ 何よりCGがキレイ!普通に進めていけばだいたいのスチルも難なくコンプできます。
・ オリキャラの修羅がカワイイですね。その分、切ないストーリーですけど私は好きです。
・ 女宿以外のストーリーは全部よかったです。特に紫義。原作とは違う甘い彼が見られるので…v
ラストの方は感情移入しちゃいました。胸が苦しくなるくらい(笑)
★悪かった点★
・ 女宿ルート…女宿は原作で多喜子のお相手なワケですから、
どうしても横恋慕という形になってしまうのでスッキリしません。
ハッキリ言って主人公(自分)が邪魔です(苦笑)
・ 修羅の外観と声のギャップ。慣れれば全然問題ないですが、初めはビックリ・がっかりしました。
・ 戦闘シーン。単純な操作なのでHARDでも簡単でいいのですが、やることが同じなので
ストーリーの後々になると面倒くさくなってきます。
回数的には多くないのですが「またぁ?」って感じになります。
人それぞれだとは思いますが、原作好きな方ならプレイする価値アリだと思います。
スキップ機能を使えばそれほど時間もかかりませんし、何よりお気に入りの七星士が
自分のために必死になってくれるんですから。ただし、室宿と壁宿は出てきませんけどね(笑)
ふしぎ遊戯DS(通常版)
他の方も書かれていますが、ゲームをしている感じではないので、物足りませんでした。
また声優も違うので、なんか違和感を感じながらのプレイでした^^;
ふしぎ遊戯ファンでも「よかった!」「期待はずれ・・」と二つにはっきり分かれるゲームかも知れません。
〈ANIMEX1200 Special〉(6)ふしぎ遊戯 オリジナル・サウンドトラック
OP曲の「1」とED曲の「14」の他に、「4」と「9」は挿入歌ですか。まあ、テレビで実際に流れた曲を全収録と言うなら、この評価でいいと思います。
確かこれ(平成7年4月〜平成8年3月)と同じ頃、まだ「美少女戦士セーラームーン」のシリーズ(平成4年3月〜平成9年2月)が終わってなかったので、主演声優の荒木香恵さんにとっては、そちら(asちびうさ)のイメージソングとして歌った「夢をいじめないで」の印象が強かったはず、なので、こちら(as夕城美朱)のイメージソング「祈るように愛してる」「Still」「Promise Love」を収録して欲しかったと思いますね。
最後に皮肉を一言、これもスタジオぴえろ制作での少女アニメでしたが、これが終わって2年後に「魔法のステージ・ファンシーララ(平成10年4〜9月)」が始まったのでした。……うーん、これを買った人に「アニメージュ・魔法少女・コレクション」を追加で買うように奨められますかね…(私はさすがに奨めたくないですけど)。