きみを守るためにぼくは夢をみる(1) (星海社文庫)
新海誠氏とのコラボだという事で購入してみました。
自分的にはとても面白く読ませて頂きました。
文章自体もとても綺麗に表現がされていて
頭の中に自然と風景が映し出せれました。
ただ、この本における大きな設定がとても非現実的なので、
そのようなファンタジー的(?)な描写が
苦手な人にはちょっと・・・
人の好みという事で☆は4つにしました。
おおきくなりません
ミステリー作家平野月哉は入籍こそしていないが7歳年下の篠野真巳美との暮らしを17年間続けていた。孤独な真巳美は漫画家をやめてからひきこもり生活を続けていたが、ある春の晩、彼女は月哉を仰天させるような事を言う。大学入試に受かった真巳美は、この4月から女子大生になるというのだ。
17歳年上という事もばれずに大学で友達も作れた真巳美だが、「おおきく」なれずに童話のような世界に生きる真巳美は様々なトラブルを引き起こす。
真巳美の父親扱いされ、彼女の勉強の面倒を見ている月哉はトラブルの解決に奔走するが、やがて自分も「おおきく」なれない存在である事を自覚していくのだった。
この年になったくせに●●ができない。この文の空白を埋めろと言われたら、誰でも一つや二つは思い浮かぶ単語が一つや二つはあるのではないだろうか。勿論、それは九九の計算やボタンを掛けるような初歩的な物ではないだろうが、克服されない苦手を持つ人は年を重ねるにつれ、苦手を避けて通るようになるか、誰かに肩代わりして貰う側面があるのは事実だ。
さて、本作の主人公篠野真巳美は完全に孤独という訳でもないし、ひきこもりだったとはいえ、2月には小説家としてデビューを果たしている。わざわざ進学する必要はない真巳美だが、大学入学を果たし、様々な課題や、初めての事に直面し、自分の幼さと向き合う事になる。
時としてあるべき大人や大学一年生の態度を取ることができず月哉に頼ったり、トラブルを引き起こす真巳美だが、それが単なる我侭であるか、或いは若さゆえの現実との格闘であるのか、どう捉えるかは読者の自由であろう。ピュアでファンタジックな物語である。
ロリータの温度
多重人格探偵サイコのサントラとして使われた、白倉由美と後藤利次のコラボレーション。はかない歌声の少女が残酷な歌詞を平気で歌い上げる、神秘的なサウンド。
夜にいい瞑想系。
「音も無く少女を連れ去ってゆくよ」「わたしは誘拐された事がある。何故ならわたしが赤い靴を履いていたからだ。わたしを連れ去った人の瞳には、バーコードが刻まれていた」「大人になる明日が来るから、生まれ変われる」「好きよ好きよ大好き」「教会の庭でロリータ℃を殺した人は誰なの」
きみを守るためにぼくは夢をみる
全体的に好きな作品です。
作品の中に瑞々しさ、初々しさが感じられます。
読まないとわかりにくいかも知れませんが、
7年間の時をタイムスリップによって超えた事にから起こる、
家族との存在しながらにして感じる隔絶や孤独の描写は良い仕上がりだと思います。
初恋の人との再会、再びはじまる初恋、
その初恋の人を巡って、今では自分の年上となった弟との、
サッカーのPK戦を通じての決闘は、心の琴線に触れてよかったです。
気になったのは、語り手でもある、幼いままでいる主人公の心理描写。
疑問符を付けずにはいられないほど、精神年齢の高さを感じてしまいます。
総じて子供じみたところが薄い、達観した語り口がそうですし、
特に初恋の人に関する描写はハッキリ言って“オヤジくさい“感じがしました。
児童文学と言うけど、この辺何とかなればな、と思いました。
それでも、細やかに切なさと希望があふれてくる作品ではあると思いました。
白倉由美作品集 ベストセレクションシリーズVOL.5 リーディングストーリー「グレーテルの記憶」
同名の漫画原作を元に主人公「みさ子」の後日譚を、原作者・白倉由美自身がリーディングしています。
脚本・朗読・監修を白倉由美。音楽監修を大川正義。劇伴を小野川浩幸。商品の説明にある[宮崎作品]とはジブリの宮崎駿の事。
ボーカル曲は作詞・白倉由美、作編曲は榎本英彦。歌は静-shizuka-。
バーチャル3D音源により音質は良く、通常のステレオに比べると左右の振り分け・遠近感が豊かです。
初回特典なのか不明ですが、ジャケットを模したポストカードが同封されています(このシリーズにはポストカードがそれぞれ同封されています)。ライナーノートには本作のちょっとした解説と朗読文、作者のコメントが収録されています。
後日譚と位置づけられていますが、漫画版のその後とは趣が異なるようです。ですが、失ったものや救えなかったもの、社会が取り残してきたものへの眼差しは通底しています。沈み込むような劇伴と、幼少期の通過儀礼や自立に伴う痛みが蘇ってくるようなボーカル曲は、人によってはつらく感じるかもしれません。漫画版を読んでからの購入をお勧めします。
独特な作風のため、人によっては不条理に感じるかもしれません。また、声優・役者による朗読ではありません。3D音源により悪い点も浮き彫りにしてしまいます。中古価格を鑑みましょう。
うろ覚えなのですが、当時、当シリーズVOL.1〜4についている応募券を全て(VOL.5は含まれていないと思います)メーカーに送ると、購入特典としてVOL.1〜4を収納できる紙製BOXをもらえました。発送の遅れもありましたが、白倉由美先生のご厚意により、BOXに自筆サインを頂きました。応募者全員にだったと思います。
また、応募券は「帯」と一体になっていた気もするので、もし、当シリーズをより良い状態で中古購入したい方は「帯」が切り取られていないか出品者に確認しましょう。