短編復活 (集英社文庫)
創刊15周年を迎える「小説すばる」に掲載された短編から選りすぐった短編集。
赤川次郎、浅田次郎、綾辻行人、伊集院静、北方謙三、椎名誠、篠田節子、志水辰夫、清水義範、高橋克彦、坂東眞砂子、東野圭吾、宮部みゆき、群ようこ、山本文緒、唯川恵、という売れっ子作家のオールスター。こんな豪華な短編集は珍しいので思わず買ってしまった。さすがにどれも面白く外れなし。その作家さんが書きそうな、「いかにも」と言った短編ばかり選んでいる所も楽しめる。あまり小説を読まない人も、これを読めば気になる作風の作家さんが見つかるに違いない。もちろん短編小説好きの方は必読書かと。
永遠のジャック&ベティ (講談社文庫)
読みながら爆笑でした。
短編集なのですが、その一つ一つが実にいい味出してます。
私の一番のお気に入りは「インパクトの瞬間」なのですが、
この話を読んだあとは、薬の配合成分に
今まで以上に注目すること間違いなしです!
「インパクトの瞬間」を読むときは
車内やカフェなどの人前でないところで
読むことをおススメ致します。
国語入試問題必勝法 (講談社文庫)
清水氏の作品の特徴である「パスティーシュ」。もともとの意味はフランス語の美術用語で「模造品」を意味する。英語で言えば"Pasted"で、「こね合わせた」「ペースト状の」というような訳になる。これを文学作品に当てはめると、「文体模倣」「模写」「パロディ」ということになるのだろうが、清水氏はそれをさらに拡大させて、人間生活のあらゆる事象にユーモアを交えて味付けした文章と、ウィットに富んだ斬新な切り口で迫っている。
確かに国語入試問題必勝法などというものは存在しない。あるはずがない。でも、存在しないものを、ユーモアとウィットにあふれた文章で、あたかもあるように見せるのである。本当はあるかもしれないと思わせるのである。これこそが清水氏の世界なのであり、面白さなのだろう。
世にも奇妙な物語 映画の特別編〈特別版〉 [DVD]
テレビでは既におなじみになっているタイトルですが、これは一昨年劇場で公開されたものであり、4つの話を一つのストーリーとして観客に見せるために、どの作品もかなり力が入っているのが、観ていて手に取るようにわかります。
基本的には、大雨の中、駅で雨宿りをしている人たちの要望で、タモリふんするストーリーテラーが、この作品の中核となっている4つの話を順次紹介していくというものなのですが、映画というメディアだけあって、テレビと違っていずれのストーリーも観ているものを飽きさせることはありません。
怖い話もあり、ユーモアたっぷりの話もあり、それぞれが丁度いい具合にうまく絡み合っていて、2時間があっという間に過ぎてしまったというのが私の率直な感想であり、本当なら星5つにしたいところなのですが、個人的にストーリーテラー役のタモリ自身のことがあまり好きになれない(タモリファンの方には申し訳ないと思っております)ので、あえてこの評価にしました。
それぞれのストーリーについてくわしく話してしまうときっと興味が薄れてしまわれると思われますのでここでは紹介するのを控えさせていただきますが、中でも個人的に推奨したい作品は第4話の「結婚シュミレーター」。
作品自体は30分弱のショートストーリーなのですが、これこそ世にも奇妙な物語というタイトルにふさわしい、私自身はそう強く思っている次第であり、友人にこのDVDを貸すときには、必ずその旨申し添えております。特にこの作品は女性にもお勧めなので・・・・。
ちなみに、私は不覚にも、劇場でこの作品を見たとき、かみさんが隣にいることも忘れて泣いてしまいました。
男性である私が涙を流したということに興味を惹かれた女性の方、是非ともご購入をご検討ください。
第4話だけでも、観る価値は絶対にあると思いますので。
暴言で読む日本史 (メディアファクトリー新書)
本書は、歴史の教科書でも出てくる有名な20の暴言、例えば、
「平家に非ざる者は、人に非ず」
「日出づる処の天子、日没する処の天子に〜」
などを切り口として、歴史を紐解いていく内容です。
その暴言が発せられた時代背景や、その人物が丁寧でユーモアのある説明で書かれていたので、
自分が知らない時代のことも、興味深く読めました。
作者の説明が論理的で、説明の根拠が明確なので、
その暴言が、本人の自負から発せられたのか、政敵が半ば創作したのか、
などの結論も納得できました。
この本で、歴史を多角的に知ることの面白さを感じました。
歴史を学ぶ意義の一つは、例えば、
「現代の報道や政治家の言葉も、鵜呑みにすると、過去に犯した歴史の失敗を再度、犯すことになるのでは?」
と疑問を抱くことにあるかもしれません。
作者の近代の歴史認識に異議がある人もいるかもしれませんが、
歴史を別の角度から眺める点では、誰が読んでも有意義な本です。