トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代 魔法使いの創作技術 (P‐Vine BOOKs)
コアな60年代〜80年代洋楽ファンの興味を沸き立たせるこのような素晴らしい書籍が他にあるのでしょうか。
彼名義の仕事(ナッズ、ソロ、ユートピア)はもちろん、プロデューサーとしての仕事まで正に「すべてを網羅した」一冊です。
「ところどころは取材してなかったりするんじゃないの?」と思ってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、ポール・マイヤーズ氏の精力的な取材は本当に目を見張ります。
名前は上がるがあまり詳しく取り沙汰されることのないザ・バンドとのレコーディングの話では、なんとロビー・ロバートソン(あとがきで奥田氏は「ロビーへのインタビューを観て、この本はホンモノだ!と確信した」と語っています。)にトッドの仕事についての話を伺っていますし、マイナーであろうスパークスのデビュー・アルバム(当時はハーフネルソン名義)の話もメイル兄弟に詳しく伺っています。
そして軋轢があったことで有名なXTCの「スカイラーキング」についても、XTCの各メンバーの詳細なインタビューが載っています。
その他たくさんのレコーディング秘話、僕の知らない、聴いたことのないアルバムの話にも非常に惹かれました。
あとがきでは、訳者の奥田祐士氏による、本書で触れられなかった日本のレピッシュ、高野寛とのレコーディングについてのインタビューが載っています。ポール・マイヤーズ氏、奥田祐士氏の情熱が伝わってくる素晴らしい1冊。
少々値は張りますが、トッドファンなら絶対に買うべきです!
flip flop
95年から99年の間に彼らが発表した楽曲の中から、シングルのみで発表したアルバム収録曲の別バージョンや別テイク、アルバム未収録曲等を完全網羅した2枚組。シークレット・トラック、トリビュート盤収録のカバー曲や、録音年しかわからない幻のライブ・テイクetc.レアな音源がズラリ。こういった側面にもシンプルなロックンロール の奥の深さがにじみ出る、ハイロウズならではの味が炸裂。
マンガ 「書」の黄金時代と名作手本―宋から民国の名書家たち (講談社プラスアルファ文庫)
これは2005年に単行本で出されていたものの文庫化です。
この「宋〜民国」は同じく2004年の単行本の文庫化である
マンガ 「書」の歴史と名作手本―王羲之と顔真卿 (講談社プラスアルファ文庫)
の下巻にあたります。
上下揃いで通読すれば、マンガという読みやすい形態で気軽に中国における「書の歴史」の全体像が理解できるという
「隠れた名著」のひとつだと思っていました。
また、マンガだけに随所に高名な書家の図版が組み込まれており、それらも見ごたえがあります。
このように優れた企画の本なので、実は以前から文庫化されるのを心待ちにしていました。