Shall weダンス? (幻冬舎文庫)
映画を先に見てましたが、たまたま図書館で見つけたので読んでみたら、とってもよかった。映画よりおもしろいです。ストーリーが少し違ってます。ぜひ味わってほしいです。
Shall we ダンス? オリジナル・サウンドトラック
映画本篇はもちろん素晴らしい出来でしたが、このサントラもすばらしい。
大貫妙子さんの名唱が聞けるタイトル曲「Shall we dance?」も2曲目に入っている。
それにしてもよくこの歌を大貫さんに振ってくれた。そのセレクト眼に脱帽。
清水美砂さんの名唱「恋の10ダンス」も入っている。これもオリジナル曲。
昭和のダンスホールと歌謡曲のムードを忠実(かそれ以上)に再現。
清水さんの歌唱法もそのオーダーに見事に答えている。
これは映画の場面そのものらしく、最初にホールのざわめきが入っている。
5曲目「日曜日はルンバでお出かけ」は途中にノリノリのE・ギターソロが入るが、
いったい誰が弾いているんだろうと思ったら、作曲者ご本人だった。
7曲目は、舞が「ダンス教室」の窓辺で過去のブラックプールのことを想う、その時のワルツ。
映画ではインストだったのに、ここでは素敵な女性のスキャット(本間哲子さん)が入っている。
このスキャットがまたいい。
ドラムスは島村英二さんがメイン、鍵となるのはベースで、全曲を作曲者の音楽仲間、泉尚也さんが弾き通している。
ベースラインに注意して聴いていくのも、楽しみのひとつ。
というように、とても細かく丁寧につくられたサントラアルバム。
アルバム全体が陽気なダンスの雰囲気に満ちていて、
ダンス場面以外の音楽もその雰囲気の中に見事に収まっている。
出色なのは、スリーブの情報。
各曲の収録時間は、ダンスの種類、その速度を示すBPMまで載っている。
作曲者の自身による短い全曲コメント、監督の短めのエッセーあり。
ラストで杉山と舞が踊る「ラストダンス」のイラストによる振り付け解説も。
表紙は山本容子さんの絵、場面写真もたくさん見られる。
会社の机で、電卓と印鑑を手にダンスの練習をする役所さんなどの名場面多数。
『Shall weダンス?』アメリカを行く
大ヒット映画の裏話としても面白いが、異文化コミュニケーション論としても楽しく読める。
アメリカ人ジャーナリストに著者は結構辛口の批評を加えているが、私はむしろアメリカ人ジャーナリストというのは、とにかく徹底して訊いて、訊いて、訊きまくるを信条としているアグレッシブな人たちだという印象を持った。こんなバカなこと訊いても…と自己規制して無難な質問ばかりしている日本のジャーナリズムにはない、力強さがある気がした。