Greatest Hits
ポール・ウェラーの書くメロディ、硬派な政治性、頑固な洒落者ぶりが一貫していた一方で、音的には色んなスタイルを取り入れたバンドだったことが感じられる一枚。初期から後期までの代表曲を満遍なくチョイスしたボリューミーな一枚で、初めて彼らに触れる方には入門盤、僕みたいに突然懐かしくなった方には手軽に聴きたい曲がまとめて聴ける便利な音源である。だが、以前にも出ているベスト盤と比べても選曲に新鮮味は無いし、ライブ音源や未発表曲など目玉になる企画性にも欠けるので、星は一つ削った。どうせだったら、彼らが最晩期に”King Truman”名義で遺したアシッド・ジャズの曲を入れてほしかったかなあ。(Acid Jazzレーベルのスタートにポールとミックが送った曲なのだが、ポリドールとの契約を反故にしてレーベルを激怒させ回収された音源。権利関係が難しいのは百も承知の呟きである。)
この人達の残した曲というのは、ソウルやジャズ、ファンクをベースに、曲によってはヒップホップやハウスをまぶした、様々なジャンルがごった煮になった音なのだが、普通今の時代でこういうことをやると熱いレイジ・ミュージックになりがちだと思う。だが、そこをあくまで洒落た英国白人ポップスに纏めた戦略性が彼らのセンスの良さだった。(ただ、ポジティブ・パンク全盛期に影響を受けまくった暗い中学生だった僕には、当時の彼らはお洒落過ぎてリアリティが少し薄い存在だったのも事実。)
80年代後半には彼らの後を追うようにジャズやソウルとポップスの融合をスタイルとしたバンドがUKチャートを一瞬賑わしたが、一方アンダーグラウンドではアシッド・ジャズやハウスのムーヴメントがクラブ・シーンで爆発し、90年代手前に入る頃にはジャズやダンス・ミュージックの進化はポップ・アーティストが担え切れなくなる。そんな時代にスタカンも失速していく訳だが、当時、本盤所収の「Promised Land」(89年)を聴いた僕も、何か彼らの導入したハウス・ビートがモサっとしていて無理して時代に追いつこうとしているような印象を受けたものだった。
ところが、それから20年。今回僕が本盤を手に取ったのは、実はこの曲を含めて後期スタカンが久々に聴きたくなったというのが理由の一つである。当時最新音楽だった初期ハウスやUKアシッドジャズも既に十分過去の音になった今、彼らの目指した「新しさ」ではなく「曲の良さ」が素直に耳に心地よくって、仕事に出かける前に部屋で流して明るく元気になってたりする。音も含めて、ジャケのデザインも「あの頃」の煌めきに溢れていますね。
Cafe Bleu
このアルバムしばらく聴いてなかったのだが、紙ジャケ、SHM-CDが手に入ったので改めて聴いたのだが、やっぱり、かっこいい。緻密な構成、完璧な演奏。
80年代の音と比べるとピアノの1音、1音が、より鮮明になっている。そしてバンドサウンド突入してからは音の洪水。
80年代は、スタカン、スタカンって、そこら歩いてる娘でも好きって言ってたもんね。
懐かしさと新鮮さ
名盤です。
ピアノ・ソングス
ピアノがどうこう企画盤がどうこうよりもまず、いい曲が揃っているという事でこの評価を。
そのいい曲というのは一概に言えないものだ。このCDはピアノを使った曲を集めてはいるが、ピアノだけで演奏されている曲とは限らない。しかし主にイントロに使われているピアノが印象的という点ではこの収録曲のラインナップで確かに間違いない。
ピアノという楽器は両極端で優しさと激しさとを演じ分けられる。
さてそのピアノがどこまで活躍するのかよりもどこで活躍しているかを見出すのがいいだろう。
グレイテスト・ビデオ・ヒッツ / スタイル・カウンシル [DVD]
1989発売のCD、singular adventures of the~と同時期に出たほぼ
同内容のVHSのDVD版ですが(原題はvideo adventures of the~)、
ロングホットサマー等一部はCDと異なりシングルバージョンです。
映像的にも古くないし、何よりウェラーのスタイリングを堪能できるの
は好きな人にはたまらないと思います。
曲順は年代順になっていませんが、ウェラーが関わってるだけあっ
ていい感じで流れていくと思います。
ただし、big boss groove, come to milton keynes,
boy who cried wolf, waiting に how she through it all away
といったクリップが外されてるので、それらもコンプリートしたい方は
on film を購入するほうがいいでしょう。
本来なら星4つ以上ですが、on film には値段くらいしかアドバンテー
ヂがないので星3つに。