First of a Million Kisses
エリオット・アーウィットという人は夜のパリを撮りつづけた写真家らしい。彼の写真がジャケットになっているCDが目に入り、思わず手にとって表裏に返し、どんなだろうと思う。「えいやっ」と買ってみて、部屋に戻りプレイボタンを押すと、極上のポップスが流れ出す。常にビブラートのかかったような繊細な女性のボーカルは、心を捉えて離さない。
自分の人生にずっと付き添ってくれる1枚を買えて、俺は何てラッキーなんだろうと思うことになる。
REMINISCENCE
Bonnie Pinkのアルバムはすべて持ってますが、正直、2ndと3rdがすばらしすぎて、その後のアルバムはこの2枚の強烈なイメージ、世界観をどうやって突き抜けるか、もがいているようなイメージを受けながら聴いてました。
今回のアルバムで、ついに本当の意味で、まだ見ない世界への扉が開かれた、それも蹴り開けるのではなく、静かに、でも大きく確実に開かれた、そんな印象を受けました。
雑誌等での彼女のコメントには、彼女が愛するたくさんアーティストの名前が出てきますが、その愛が一曲一曲に注がれて、あふれ出しているような感じ。産みの苦しみが音符の向うに察せられた2nd&3rdとは、完成度こそ比肩するものの、陰と陽、相反する位置にあるように思います。本当に楽しそう。
これまでBonnie Pinkは自分の中で冬の定番でしたが、夏にも文句なく楽しめる一枚かと思います。ごてごてと安っぽい打ち込みを重ねるのではなく、よい素材を集めた上で、引き算で構成された本物のカバー集。「この曲はここが好き!」って、伝わってきます。#7「真夏の果実」の出だしは鳥肌もの。
彼女のファンはもちろん、CDTVを卒業したいポップロックファンには、必聴の一枚でしょう。Bonnieさん、聴き続けてきてほんとによかったです、これからも、ぜひ貴女のすばらしさ、みんなに伝えていきます。