僕の初恋をキミに捧ぐ メモリアル・エディション [DVD]
原作となったコミックは読んでいませんが、色々と考えさせられる映画でした。
幼いこどもながらもお互いに特別な想いを抱いていた、繭(/まゆ・井上真央)と逞(/たくま・岡田将生)成長しても、その想いは変わらず、けれど、逞は、自分が長く生きられない確立が高いので、繭のためを思って距離をおこうとしますが、逞への一途な想いを貫く繭は、行動を起こして、逞ともっと親密な関係になりたいと転校までしてきます。
映画のストーリーとして、終始アクティブな繭が、逞を引っ張っていく関係は、子役の時から活躍していた井上真央と岡田将生のキャリアの差がそのまま作品にいかされていたように思えます。最近の若手の男性俳優として他の作品(たとえば「乙男」など)とは違う、役柄を自然に演じている岡田将生には、役者としての可能性を感じました。
学校いちのプレイボーイという設定で、松山ケンイチ主演の映画「デトロイト・メタル・シティ」で、バンドのメンバー役だった細田よしひこも、好演していたと思います。細田よしひこ演じる鈴谷は、この映画において重要なキーマンとなるべき役でもありました。医療が発達したのは大変素晴らしい事ですが、いまや人間の領域を超えてしまったような怖さも感じました。
人は生まれて、生きて、そしていつか「死」を迎えます。その「死」の時がいつやってくるのかわからない人が大半で、だからこそ、生きるという事はとりもなおさず絶えず「死」と隣あわせにあるものなのです。そういう意味で、果たして長く生きる事が必ずしも幸せとは限らないのでは?とも思いました。限られた時間の中で濃密な時間を過ごした逞と繭は、幸福だったと思いたいです。
TVでのメイキング特集の時に語っていた平井堅の「純愛をろ過して、ろ過してして創った」という「僕はキミに恋をする」もこの映画にぴったりで、とてもせつない気持ちになる曲だと思いました。
BADBOYS バリクソBOX(初回限定生産) [DVD]
最近よくある「マンガ原作映画」「イケメン映画」とは
明らかに一線を画した作品。
何より違うのは原作へのリスペクトが強く感じられること。
原作の知名度、話題性だけにおんぶに抱っこの作品ではなく、
「この原作を映像にしたい」という作り手の強い思い、
そして、地元・広島への愛を感じる。
原作の1エピソードを深く掘り下げ、
脇役の一人だった「野村豊」を軸にしたオリジナルストーリーでありながら、
原作の名シーンも要所に再現されているし、
漫画のキャラクターが生き生きと人間らしく蘇っていて
原作ファンが見ても気持ちがいい。
キャスティングを見ても原作重視なのがよくわかる。
話題の役者ありきの原作当て・・・という順番ではこうはならないはず。
暴力シーンも多いが「子どもに見せたくない」というものではない。
「痛み」をもって、いろいろなことを教えてくれる映画でもあると思う。
初回限定バリクソBOX特典もよかった。
幻のパンフレットにある原作・田中先生の絵コンテは涙モノだし、
田中先生の映画への思いも「そうそう!」とおおいに共感できる。
また、あえて映像化されなかったラストシーンのシナリオなど、読み応えがあった。
これで終わりなんて許さない!(笑)
続編、期待してます。
『Q10』DVD-BOX
例え肉体が朽ち果てようとも世界が良くなって欲しいという願いは次の世代に受け継がれ時空を超えて永遠に生き続ける。
そんな事を信じさせてくれる素晴らしいドラマでした。
DVDが届いたら生涯の宝物にしたいと思います。
制作に関わった人達に御礼を申し上げたい。
僕の初恋をキミに捧ぐ スタンダード・エディション [DVD]
原作を読んでからDVDを見たから感じるんだけど井上真央が悪い訳ではないが原作に沿った映画にするべきだったな。繭のイメージが上手く出せてなかった。逞の死が余りにあっけなさすぎて涙も出なかった。井上真央の「何度生まれ変わっても、こんな悲しい思いをするのが分かっていても君に恋をする」という台詞はジーンと来たかな。だがやはり素直にアニメにするべきだったろうと思う。仲村トオルは氷点でも辻口啓造という医師を演じていたから2度目の今回は如何にも医師らしかったな。
三四郎 (SDP Bunko)
漱石の書いた最後にして最高の「楽しい」小説。「こころ」や「明暗」では決して味わえない物語の楽しさが、なつかしい手紙を小箱に詰め込んだように充溢している。漱石自身、この作品が彼にとっての分岐点になることを予感していたに違いない。
この本を開くたびに、真夏のキャンパスに降り注ぐ太陽の匂いがする。家々を渡る初秋の風の色が見える。美しく聡明な女の、翳りのある横顔が映る。夢のようにいたずらにうち過ぎていく青春の一コマが蘇る。……本を閉じた後、きっと、もう一度三四郎たちに会いたくなる。
だから名作なんだろう。