誰かが私にキスをした [DVD]
この映画は本当に素晴らしい作品です。
過去、現在、未来、とそれぞれ三人の男の人と恋に落ちるナオミ。
この映画の世界に入るとなかなか抜け出せません。
人間の持つ記憶の大切さというものを深く感じる事ができます。
ビートルズの歌を聴きたくなります…。
悪意 (講談社文庫)
これは、今までの小説と一味も二味も違ったものでした。
今までの小説は「なるほど」と思っていくものが多いのですが。
悪意は読んでいくにつれ、「え・・・・」となっていまうのです。
1つの事件から見えてくる、その人の人間性や考え。とても奥の深い小説だと思います。 これは是非1度読んでみてほしいです。
白夜行 完全版 DVD-BOX
どの役者も熱演し、原作を読んでいなくても、この作品に溢れてくるものが分かる。
途中で俳優のスキャンダルも出てきたものの、それを見事に払拭して良作だった。
全編通して人間の様々な顔が見えて、『人間』をパターン化していない。
刑事を殺そうとした人間がその刑事に追われ続けていたことに対して涙し、
刑事を救う……なんていう筋書きは『一人の人間』そのものだと思うし
主人公の願いと矛盾を表していて、とても面白かった。
最後まで愛した人のために尽くしつくした男と、共に歩きたかっただけの女。
「自首」という妥協ではなく、最後まで自己を貫き通した姿勢に感服。
その結果として女の方が生きた屍になったとしても、最後のシーンで救われた。
見る価値は在ると思う。
歪笑小説 (集英社文庫)
小説家達しかわからない、本を書く側と売る側のかけひきに関するノンフィクションを、
ちょっと大げさに面白おかしく書いただけの、東野氏の手抜き作品なのかな、と思って手にとって見たら・・・・。
まったく違いました。12の短編集からなっているのですが、どれもちゃんとお話として成り立っていて、
エンターテイメントが忘れられていない。腸が煮えくり返りそうな話、笑える話、鼻がつんとくるような、
うるっとくるような気持ちにさせられる話など、小説家や編集者達の両方に感情移入
してしまいました。
特に一番最後の「職業、小説家」という短編の居酒屋での喧嘩のシーンは、
出版不況時代を生き抜く小説家達を東野氏が代表して書いているのではないかとすら思いました。
どんなに心血を注いで書いた作品も、図書館で借りられてしまったり、ブックオフで
安く買われたりして、その作品を生み出してくれた人には昔ほど印税が入らないこの時代。
産みの痛みに見合わない収入しか期待できないでしょう。小説家にしてみれば、お賽銭の代わりに
「ありがとう」「面白かったよ」と書かれた紙切れがぽいぽい投げ込まれるお賽銭箱を持って
いるような時代だけど、それでもあなたは小説家になりたい
ですか?と小説家志望者に問いかけるような、そんな1冊でした。