働くおっさん劇場 [DVD]
最初、隠していたBOXを妻に見せた時は、「どういう趣味?」と、どう思ったか分かりませんでしたが、
一緒に鑑賞し、全部見る頃には、続編出たら買おうという話まで。女性にはどうかなと思っていましたが…。
見始めた時は、ひやひやしました。まっちゃんの、おっさんたちへのあまりの、接し方、注文、放置振りに。
しかし、おっさんたちには見えないまっちゃんの、声を殺した多種多様の笑いに、おっさんたちへの愛情が見えます。
恐らくあの笑いには愛情があるのだと思います。
そして、徐々にノッてくるおっさんたちには安心しましたし、型に収まらない彼らの暴走、そして調子に乗ると「何やってんすか」と制される緊張のバドミントン!
最高です。
やはり、無作為に溢れるものほど笑ってしまうものはないと思いました。
さや侍 [DVD]
大日本人も観ました。非常に面白かったのですが、まさかあんなに社会的なメッセージの入った映画とは思ってなく、
少し求めていた物と違った気がしてました。
結論から言うと、さや侍も求めていた物と違ったんですが、それでも最後は泣きました。
無理矢理泣かせられるというより、終始滑稽なのに何故か泣ける、という不思議な感覚でした。
久々に泣きました。余計なお膳立てや派手な演出もなく説明がなく、淡々と終わるんですが
それが素晴らしい。嘘くささが無い。大日本人のような少々難解なタイプでもないので、素直に観れると思います。
松本人志の映画に対する姿勢が見える。本当にプロの監督にもこの姿勢を見習ってほしい
さや侍 [Blu-ray]
随所に爆笑ポイントがあるのかと思いきや、考えさせられる作品になっています。まず冒頭で野見を襲う3人の刺客。そのキャラとバカバカしいネーミングはいいとして、切られたり、拳銃で打たれたり、骨を折られたり...。『つかみはOK!』どころか、ほとんどギャグにもなっていない。結局、あの三人は不必要だったかな。それを削って脱藩や、さや侍になった経緯を表したほうがよかった。
メインである若殿を笑わせる“三十日の業”となってからは、毎日毎日牢屋でネタを考えて、だんだん門番がそのネタづくりをサポートするようになってくる。そのあたりは、結構面白かったです。しかし、クスッと笑えるところはあったけれど、笑わない殿様の息子と同様に、“三十日の業”のシーンで笑うことはできませんでした。まあ、それは、意図的に笑えないネタにしたのかもしれないですが...。それにしても、劇中で市井の人達があんなに、熱狂するのがよくわからない。
コメディアン松本人志は、映画監督としては大爆笑とともにエンドマークってことをしない。本作では、結局、感動に逃げる。映画でも小説でも、笑わせる方が、感動させるよりも難しいとは思うのだけど...。
武士の面目を保つために「自害しましょう」と、娘は繰り返す。父親に対して幼い娘が「死ね、死ね!」と詰め寄るのだ。しかし、この異常な状況も、武士であるがゆえ。そして武士であるゆえ、ラストに思わぬ形で効いてきます。そういう意味での上手さはあったかな。
終盤、急に『親子の良い話』へ舵を切る。そこまでの「笑い」が親子愛が垣間見えるハートウォーミングなものであったならば、またはそういった要素を伏線的に振っておいたなら、感情がスッと入っていったかもしれないが、バラエティ的(それも古典的)な笑いを散々やってきたのに、急に泣かせ入るのは少々無理がある。驚き、意外性だけではね...。僧を演じた竹原ピストルが、なかなか良かっただけに惜しい。