ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972) 【ベスト・ライブラリー 1500円:第2弾】 [DVD]
この作品は1973年の米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞しましたが、ノミネート後のインタビューでルイス・ブニュエル監督は持ち前のブラックユーモアで「受賞の自信は有る。彼らの要求する金は払ったから。」と冗談を飛ばしたことから、アカデミー賞委員会が否定に躍起となったという曰く因縁のある傑作です。
ブルジョワジーの密かな愉しみ [DVD]
登場人物の金持たちが 要はなんとしても食事にありつけないという着想だけで作り上げた空前絶後のブラックコメディー。各場面が常に誰かの夢であるという設定は その後日本で「時をかける少女」でコピーされかことも記憶にまだ新しいものがある。それにしても こんな映画が製作できること自体素晴らしい。欧州映画の奥深さである。日本映画にも こんな余裕が欲しいと思うのは 我儘なのだろうか?
ブルジョワジーの密かな愉しみ (Feel young comics)
今でこそイラク戦争で注目されているけど、この時代アフガンゲリラが出てくる少女漫画なんか書いていたのは原田智子くらいでは?(あと、「エイリアンストリート」?)そのことからも分かるように、少女漫画家には珍しく社会意識の鋭い作家さんなので、ギャグセンスも先鋭的で独特、この人の個性は貴重です。エッチ心もしっかり満足!
ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972) [DVD]
ルイス・ブニュエルは、ダリ等と行動を共にしたシュール・リアリズムの開拓者で、作品にはシュールなイメージが重なっています。
『ブルジョワジーの秘かな楽しみ』は、73歳の時の作品で、若いころの先鋭的な芸術運動の時期を経て、余裕のようなものが感じられます。
エスプリの効いた耽美的、寓話的なエピソードを織り交ぜた芸術性が感じられるのですが、これをブラックなユーモアで包んでいるところなど非常に面白いです。
ブルジョワ階級のいつも変らぬ6人の男女が、食事に招いたり招かれたりするのを繰り返します。
その合間にブルジョワの正体を軽妙に暴いてゆきます。
シュールな場面が巧みに用いられ挟み込まれていますが、これなどはもう名人芸ですね。
さらに付け加えれば、画面が絵画のように実に美しいです。
映画史に残るユニークな名作だと思います。