Ash Ra Tempel
アシュラテンペルはこの1stと「Join Inn」がいいです。
どちらもシュルツェがドラムを叩いているので。シュルツェのドラムは絶対ハマります。
2nd以降はゆるすぎる感じがしたのでやっぱりこれです。
ドラッグ絶対やってて、時間間隔とかおかしくて20分ぐらいダラダラ演奏してるにも関わらず、
展開とか起承転結とか感じさせてしまうのは凄いバランスです。
聴かせます。時間があっというまに過ぎるのだから驚きです。
天才だから無意識になっちゃったんでしょうか。プロデュースのコニープランクの働きでしょうか。
アシュラテンペル以降、音楽界から降りちゃったヘルムート・エンケの暗黒ベースも良いです。
完全に降りてしまったのは残念です。
1・2曲目とも、20分という演奏時間の深い溝に引っ張り込んでいく感じが凄いです。
ドラッグやってないにも関わらず、時間間隔をおかしくされます。
New Age of Earth
このアルバムは近代ロックのどのジャンルにも無理して当てはめようとすれば当てはまるのですが、ジャーマンロックのくくりに収まりますね。
ともかく音が綺麗。近代のシンセロックかと思わせるほどきらびやか。クオリティに対して値段は…まあこんなものか。
ゲッチングさんの新作を聞きたい気持ちにさせます。ともかくおすすめ。
Seven Up
LSD実験(ハーバード大学での人格研究センターでの全面的支援、しかも公開)の件でスイスの亡命中だったティモシー・リアリー博士を招いての3作目(1972年)です。
サイケ全盛の頃から随分時が経っているのに、相変わらず「この音」です。ブルースを基調にした、もやもや、ゆらゆらしたそのサウンドは、アシュ・ラ・テンペルというよりも、初期ホークウィンドや「神秘」のころのピンクフロイドみたいです。
それにしてもここまで、八方破れに徹底して突き進んでしまうのは、やはりドイツ人気質の成せる技でしょうかね。ある種の愚直さというか生真面目さを強く感じます。でも結局「意匠としてのサイケ音楽」を垂れ流しているだけなので、音楽としての面白みはあまりありません。
私は、ファンとして、アシュ・ラ・テンペルが好きだから、敢えて苦言を申しますと、このグループは、内容よりも、ジャケの品質で随分得をしていると思っています。相反するように、ゲッチングのソロやアシュラ名義の作品のジャケがおそろしく、地味というか素っ気ないのは、この辺の「過去」と、関係があるのか不明ですが・・・。本作も中身以上にジャケが饒舌な気がします。
本作は、私としては、マニュエル・ゲチング(先端的なジャーマンロックのアーチスト)とその仲間が、当時のティモシー・リアリー(60年代の幻覚剤の最先端の研究家)と組んでアルバムを出してしまったという「イベント」こその方がインパクトがありました。これは、ピンクフロイドでも、ベルヴェット・アンダーグラウンド、でもグレイトフル・デッドでもなしえなかった快挙(笑)でしょう。その意味では、直球勝負の凄い作品です。ちなみにクラウス・シュルツエは、グループのこうした方向性に批判的だったらしいですが・・・
ところで、ジャケのギーガーの絵は凝っていて大変素晴らしいです。ギーガー(「エイリアン」で有名なスイスの画家)といえば、当時、ジャーマン・コズミック、オカルト界の重要人物、セルギウス・ゴロウィン(神秘的な名作「LORD KRISHNA VON GOLOKA」1973年で有名な人)とヴァルダー・ヴェグミュラー(スイスの画家)と連名で、スイスにリアリーの亡命庇護権を要求した人物です。
単にアシュ・ラ・テンペルの作品というよりも、こうした当時の「精神世界」のグルたち(主にドラッグカルチャー)の異業種交流の場(なれの果て=犯罪者か)とみると、この作品はきわめて興味深い資料となっています。ただ前述のように、音楽的には過度に期待しない方がベターでしょう。