聖徳太子―超劇画 (QJマンガ選書 (16))
ふくしま政美は「女犯坊」の後に華々しくメジャー少年誌に進出するも、「聖マッスル(マガジン)」と「格闘士ローマの星(チャンピオン)」がヒットせず商業的な成功は掴めなかった。そんな彼が再び滝沢解との“絶叫コンビ”により発表したのが、この「聖徳太子(1977年)」です。聖徳太子を主人公とした伝奇SFエロティックバイオレンスで、太子は聖人どころか、怨念と欲望にまみれた狂気の人物として描かれます。
妻との心中で無念のうち絶命せざるを得なかった聖徳太子は、蘇我氏への怨讐の果て現世へと甦る。太子は黄泉からの追手や閻魔大王と激闘を繰り広げ、さらには黄泉の国を舞台に、閻魔VS釈迦の軍勢の全面核戦争へ突入…といった、常識では計れない方向に物語は進んでいきます。
「黄泉の国」が、鬼たちが従事する超ハイテクのコンピューター制御室で管理されているという、大胆な設定も素敵。また、太子抹殺に遣わされた霊獣「玄武」は、半機半獣の化け物だったりします。
目玉はえぐり出されるわ臓物が飛び散るわと、暴力性ムキ出し。全裸女性のキャットファイトとか、閻魔が愛妻の弁財天に聖水を飲まされるだとか、変態性も丸出し。これらがふくしま政美のケレン味たっぷりの超絶劇画絵で描かれるのだから、それはそれは凄まじい光景です。
ふくしま先生失踪(!)のため、残念ながら途中で終了してます。しかし未完だから楽しめないタイプでもないし、それで購入を躊躇する必要はこれっぽっちもありません。ぜひこの、暴風雨のようなエネルギーを体感してみてほしいです。
女犯坊 (怒根鉄槌編) (QJマンガ選書 (05))
今は無き雑誌「漫画エロトピア」で連載された漫画『女犯坊』
怪僧ラスプーチンをモデルに創られたと言われるキャラ・竜水
贅沢、無駄に2ページ丸ごとつかった見開きに圧倒!
おもわず引いてしまう描写もありますが、
連載当時のエロ・グロ・ナンセンスが解る作品です。
作画者・ふくしま政美と亡き原作者・滝沢解は
一度ケンカしたものの2,3回会うたびに和解したとか
あと『女犯坊』がここまでウマく描けたのは、当時の
ふくしま政美が竜水を想わせる豪快な人だったとか。
(『消えた漫画家 アッパー系』参照)
聖マッスル 上巻
いやーこれ程濃厚な作品ってそうないと思います。
色んな意味で。世界観の不条理さや主人公と登場人物どれを取っても、、、
主人公は全裸です。スキンヘッドでもみ上げだけがおさげというキャラもいますし
ストーリー初めの人間城の主なんか中年肥満体のおじさんですが全裸です。
人口が増えすぎた町が幼児、お年寄りを全裸で死ぬまで走らして
人口低下化(この作品では死のマラソンと呼んでいる)を図っている話や
なんだかもう、、絶望的な内容。
まともなキャラはいません。
筋肉の書き込みとにかくすごいです。
この絵を描いたふくしま先生の思考が気になります。