飛べ!フェニックス [DVD]
昔の俳優さんたちは、どうしてこんなに個性的で、誰もが確かな演技力を備えて、一人一人が見事な位の存在感に溢れているのだろう……まず、そんな感慨を改めて覚えてしまいます。何しろ、出演はジェームズ・スチュアート、リチャード・アッテンボロー、更にピーター・フィンチからジョージ・ケネディに至るまで、実に錚々たる顔ぶれです。
むさ苦しい男ばかりの一団が試みる極限状態からの脱出劇。周囲は見渡す限りの砂漠で、色彩さえも極めて乏しい映像なのに、物語が進むに連れて、見る側の心が次第に豊かな感動に包まれて行き、最後には不思議な位に大きく温かく変化しているのを感じます。卑怯極まる最低の人間として描かれている人物でさえ、生還場面で見せる笑顔に「ああ、ともかくも、生き抜いてくれて良かった……」と、思わず感じさせてしまう、そんな作品です。
ただ、日本語吹替音声を収録したDVDを手にする度に思うのですが、吹替を担当しておられる声優さんの扱いが余りにお粗末です。この作品の場合、収録されているのはTV放映時の吹替音声ですが、ジャケットの配役表(役名・俳優名・声優名)には、主要人物5名のみしか記載がありません。青野武さん、槐柳二さん、塩沢兼人さんなど、声を聞いただけでそれと判る有名な声優さんが他にも多数出演しておられましたので、余計に気になりました。考えてみれば、日本語吹替版ビデオの多くは、本編終了後に「声の出演」のクレジットをきちんと入れてくれていたのに、日本語吹替音声を収録したDVDでは、オリジナル吹替であれTV放映時の吹替であれ、これまで一度もそうしたクレジット入りのソフトを見たことがありません。これは、購入者に対するサービスの問題と言うよりも、声の出演者に対する礼儀の問題、引いては権利に関わる問題をも含むのではないかと思われます。作品自体には何の不満も無かっただけに、返ってそうしたことが気になりました。
フライト・オブ・フェニックス <特別編> [DVD]
65年製作の「飛べ!フェニックス」のリメイク。
サバイバル作品の教科書のリメイク。
水戸黄門シリーズ感覚で楽しみましょう。
風景、撮影はなかなか。
シナリオは、安心ハッピーエンド。
気楽に楽しみましょう。
飛べ!フェニックス [DVD]
アルドリッチの映画からはルール(掟)の匂いが漂う。
今回の『飛べ!フェニックス』からもそれぞれの立場により千差万別である男達の掟が、
他者の掟と葛藤することとなる。作中で何度も繰り返される飛行機を飛ばすベテラン機長と
飛行機設計技師の間でやり取りされる葛藤を代表にして流石に『北国の帝王』を産み出すアルドリッチならではの素晴らしいところである。
このために2時間以上も飛行機と墜落地点の砂漠からほとんど舞台が動いていないにも関わらず、映像に引き込まれ時間の経過を忘れさせることが出来る稀有な作品なので御覧になるのをおすすめしたいところであります。